カール・シューリヒト

交響曲第3番ニ短調「ワーグナー」
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」
 シュトゥットガルト放送交響楽団
 スイス・ロマンド管弦楽団

交響曲第5番変ロ長調
 シュトゥットガルト放送交響楽団
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

交響曲第7番ホ長調
 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
 シュトゥットガルト放送交響楽団
 デンマーク放送交響楽団
 北ドイツ放送交響楽団
 ハーグ・フィルハーモニー管弦楽団

交響曲第8番ハ短調
 シュトゥットガルト放送交響楽団
 北ドイツ放送交響楽団
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(ライヴ)
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(スタジオ)

交響曲第9番ニ短調
 ベルリン市立(歌劇場)管弦楽団
 シュトゥットガルト放送交響楽団
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(55)
 フランクフルト放送交響楽団
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(61)
 バイエルン放送交響楽団

 某巨大掲示板を一度でも閲覧された方は、そこでの当て字の頻用に驚かれるだろうと思う。(何を隠そう、私がそうだった。)「クラ板」での指揮者名も然り。「空ヤン」「蛮スタ」などは、指揮者に対して投稿者が抱いているイメージが漢字に込められているようで興味深い。さて、シューリヒトは「修理人」であった。これには大笑いした。(もっと笑えたのは「生協男」である。当サイトに登場する機会は多分ないが・・・・)表記自体は面白い。が、実態はまるで逆でないかと思った。なぜなら、これから各ページに書くことになろうが、この指揮者によるブルックナーは曲の構造を完全に無視したような、さらに言えば意図的に壊しているような演奏だからである。つまり修復不可能な状態にまで持っていってしまう「破壊人」(「ハカイダー」「デストロイヤー」)である。(そういえば、四国の山村を舞台にした大江健三郎の長篇小説では、作中で語られる伝承に「壊す人」というのが登場したなあ、とどうでもいいことを思い出した。)宇野功芳が好んできただけあって、クナと同じ「爆演型」「エンターテイナータイプ」であるというのが私の見方だ。ちなみに、彼の講談社新書クラシック本を読んでも特に興味は持たなかった。(当時は1曲1枚で十分と思っていたし、シューリヒトのブルックナーはまだCD化されていなかったのでは?)
 この指揮者に注目するようになったのは、「クラシックの聴き方が変わる本」の「ドイツとオーストリア混同の誤解を解く」を読んでからである。執筆者は許光俊。ブルックナー8番の項では、ヴァントとチェリの芸風の違いについて述べてから、このように締め括っている。

 それもシューリヒトやクナッパーツブッシュ、朝比奈という
 頭を使わない指揮者がブルックナーのイメージを作ったせいだ。
 あの世からでも懺悔して欲しい。

これらの指揮者3人のファンが読んだら激怒すること間違いなしである。これだけ過激な文章が記憶に残らない方がおかしい。許は「こんな名盤は、いらない!」の第3章第5項でもシューリヒト&VPOによる8番と9番のディスクを酷評している。(ただし、タイトルは「こんな録音じゃ聴く気がおきない!」であり、録音に対するクレームが主体である。)これを読んだ時には既にブルックナーのCD蒐集を始めていたが、シューリヒト盤にはまだ手を出していなかった。許が執拗なまでに悪く書いていたので私は却って興味を持った。何にせよ、評論家の受け売りで何かが解ったような気になるほど恥ずかしいことはない。ここは実際に聴いてみなくては、と思い購入に踏み切った。(名古屋出張時に国内盤の中古を何枚かゲットした。当時は中古屋をハシゴして、それこそCDを手当たり次第に買ってはデイバックに突っ込んでいたので、帰宅した時には必ず何枚かのケースが割れていた。)
 ということで、ブルックナーの聴き比べに興味を持たなければ、シューリヒトのディスクは1枚も持っていなかったと思う。ブル以外のレパートリーで現在私が所有しているのは、8番とセットになった2枚組(IMG)のDISC1だけである。あれに収録されている「未完成」「ハフナー」「ベト1」は決して悪くない、というより結構気に入っている。(ということは・・・・)特に最初のはムラヴィンスキー、クライバー、ヴァント(BPO盤のみ所有)などを差し置いて1位に挙げたいくらいだ。
 ここに挙げた以外にも、シューリヒトのブルックナーには多数の別音源が存在することは知っているが、何れもモノラル録音ということであるし、既所有の9枚を聴いても特に愛着が湧くということはなかったため、10種類目が加わる可能性は極めて低い。

2005年1月追記
 ウソばっかし。ヘンスラーによる789番シュトゥットガルト放送響盤を買ってしまった。45番も音質改善を期待して正規盤への乗り換えも検討したが、結局ガマンした。さらに7番は北ドイツ放送響との演奏も3月にTahraからリリースされるようなので悩むところではある。(それで後期3曲が3種ずつ揃うから。)Altusから出たVPOライヴ89番のうちEMIスタジオ録音の5日前の演奏である8番は、やはりメチャクチャな快速演奏らしいので敬って遠ざけるが、55年録音の9番はトータル約60分でテンポ設定も妥当、しかも両端楽章のバランスも悪くないようなので気にならなくもない。が、同レーベルの製品はいかんせん高い。ただし、そのうち値崩れするのが常なので気長に待つことにしている。(2005年5月追記:目論んだ通り安売りされたのでゲットした。)

2005年1月追記その2
 ウソばっかしパート2。4番SDR盤ページに「たぶん入手することはあるまい」と書いていたにもかかわらず、出来心で改訂版使用のChaconne盤を入手してしまった。そちらで述べたようにオケ名は本来不明なのであるが、通説に従って当サイトでも「スイス・ロマンド管」による演奏としておく。

2007年10月追記
 久しぶりのウソばっかしパート3(←もおええ)であるが、yahoo!オークションにて7番NDR盤を入手。

2008年8月追記
 CENTURION CLASSICSの激安10枚組全集の出来心入手により7番と9番がそれぞれ1種ずつ増えてしまった。

2008年9月追記
 さらに789番について1枚ずつ追加。我ながら何考えてんだ?

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