交響曲第9番ニ短調
カール・シューリヒト指揮ベルリン市立(歌劇場)管弦楽団
43/07/13〜14
CENTURION CLASSICS IECC10018(全集)

 演奏自体を採ればこれまで聴いた中で文句なしにシューリヒトのベストだ。(録音もモノラルとしてはかなり優秀である。)これも「完璧」という浅岡の評価に偽りなしとしておこう。第1楽章のビッグバン前にアホな加速をしないし、終わる時も(やや寸詰まりではあるものの)「ミッラ」的ブッタ切りではない。両端楽章のバランスもまずまず(時間差は1分ほど)。コーダの「ダダーン」が聞こえないのは不満だが、そこまで要求するのは酷というものであろう。(私には指揮者の聴覚に問題があるとしか思えないのだが・・・・)
 ということで、シューリヒトの9番はこの43年盤が一番「まとも」で、以後は61年VPO盤まで崩れるに任せてしまったような感がある。(63年のBRSOライヴでは多少持ち直した感もあるが。)つまり「修理人」から「構造破壊者」へと凄まじい変貌を遂げた訳であるが、この間彼に一体何があったのだろうか? 結局のところ私にとっては謎だらけの指揮者である。

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