交響曲第7番ホ長調
カール・シューリヒト指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
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CENTURION CLASSICS IECC10018(全集)

 同じCENTURIONレーベルの激安全集でも7〜9番がフルヴェンの演奏を収めたIECC10028ではなく、このIECC10018を採ったことは既にベームの4番SKD盤ページに記した通りである。ただし単に重複を回避したかったという消極的理由ではなく、浅岡弘和のサイトに掲載されていた文章によってシューリヒトの戦前録音に興味を持っていたからである。少し引く。

 最近、新星堂からシューリヒトの「第7」と「第9」が限定発売された
 (SP復刻)が、後者は音もよくかなり愉しめた。後年のステレオ録音
 の20年も前からこんな完璧なブルックナーを振っていたとは驚きだが、
 彼はクナッパーツブッシュと違って大器晩成ではなさそうである。

ここで上の限定盤とは国内新星堂(フォノグラム)による2枚組(SGR-6006/7)を指していると思われる。なお、Memoriesレーベルからも7&9番をセットにした2枚組(MR2018/19)がリリースされているが、そちらは別演奏、つまり1954年9月デンマーク放送響ライヴのと1957年2月フランクフルト放送響ライヴを収めているようなので注意されたし。
 戻って、それほど完璧ならば聴かない手はないと考えたのである。(本当のことを言えば「ホンマに完璧なんやろか?」という疑問を抱いていたのであるが。)が、彼の言葉に嘘はなかった。音質はもちろん措くとして、演奏には文句の付けどころがない。やはりオケの腕というのは大きい。これまで耳にしていたのと同じく速めのテンポで淡々と進めてはいるものの(ただし偶数楽章はシューリヒトにしては結構粘っている感じ)、聴後には「噛めば噛むほど」と評したくなるような何とも味のある演奏である。それゆえ第1楽章6分19秒からの「パーパカパッパカパッパカパー・・・・」が極めて真っ当なのは痛し痒しか?
 そういえば定評のある64年ハーグ盤よりも53年SDR盤の方が演奏そのものの印象は良かったりしたのだが、当盤でも事情は全く同じである。7番演奏におけるシューリヒトの飄々スタイルは音の古さを全くハンディとしない、いや逆にプラスに転化させてしまうのかもしれない。本当に不思議な指揮者だ。とはいえ、これがステレオ録音で残されていたら長きにわたって「決定盤」の地位を保ち続けていたような気さえする。

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