交響曲第7番ホ長調
カール・シューリヒト指揮デンマーク放送交響楽団
54/09/30
MEMORIES REVERENCE MR 2018/19

 7番BPO盤ページで触れたMemoriesの2枚組までも遂に入手することになってしまったとは!(ヤフオクで980円だったが、どうせすぐひっくり返されるはずと高をくくっていたのは大間違いだった。)これで7番は5種類目、9番に至っては6種類目だ。しかも後者はシューリヒトの解釈で名演など期待できるはずもないというのに・・・・もはや気が触れていたとしか言いようがない。が、気を取り直して試聴に臨む。少なくとも7番は大ハズレということはなかろうと思いつつ。なおディスクの総収録時間は60分47秒だが、トラック4(13分47秒)には拍手その他(後述)が含まれており、第4楽章の正味の演奏時間は11分50秒。よって全曲では59分弱となり、これは彼の7番録音としては最短の部類に属する。
 第1楽章4分半過ぎからのイラチ加速に「こらアカン」と匙を投げかけた私だが、それ以降は気に障る解釈はなく、それどころか次第に熱を加えていく演奏に引き込まれてしまった。コーダにおけるテンションの高さなど尋常ではない。(ここでアホ加速を一切やらず堂々と押し切っているのは見事の一言に尽きる。同時にこのような演奏がなぜ8番や9番ではできなかったのかが理解に苦しむ。)前楽章同様の快速アダージョ(←形容矛盾だな)も充実しまくっている。ちなみに当盤のクライマックスは珍しくシンバル不採用だが、それでも物足りなさを全く感じさせないほどの凄まじい燃焼ぶりだ。
 金管の吹き損じが何度も聴かれたようにオケの調子は万全とは言い難く、完成度は正直言って大したことないのだが、印象は決して悪くないどころか名演揃いのシューリヒトの7番中でも一二を争うのではないか。終演後の聴衆のたいへんな盛り上がりようも理解できる。(ただし拍手開始後約1分を過ぎて10秒ほど奏でられる華やかなファンファーレはいったい何だろう? まったく意味不明だ。)プチプチ&ヒスノイズやドロップアウトが耳に付く「そこそこ以下」の音質ながら評価の大幅下落とならないのも当サイトにてこれまで採り上げてきた他盤と同じである。謎は深まるばかりだ。

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