ミヒャエル・ギーレン

交響曲第3番ニ短調
交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」
交響曲第5番変ロ長調
交響曲第6番イ長調
交響曲第7番ホ長調
交響曲第8番ハ短調
(全て南西ドイツ放送交響楽団)

 ギーレンについては「クラシック悪魔の辞典【完全版】」の著者が「ひねくれ度の最も高い演奏家」などと解説しているが、私が鈴木流スタイルによって記すならば「鈴木淳史が自己のアイデンティティ(許光俊との違い)を示すことのできる唯一の指揮者」ということになるだろうか。とはいえ、某掲示板によると鈴木の近著「私の嫌いなクラシック」では、親分大贔屓のケーゲルやヴァントまでも攻撃対象にしてしまっているとのことである。本気で自立を考えているのか、それとも何か(←理由は多々考えられるが)の憂さ晴らしだろうか?(追記:これまでギーレン嫌いだったはずの親分も2005年11月の「言いたい放題」にて突如として褒め始めるという妙な雲行きである。)
 実は「ギーレン」の名前を初めて意識したのも「クラシックB級グルメ読本」中の鈴木の文章である。もっとも中身の方はサッサと忘れてしまい、タコのように描かれた指揮者のヘタクソなイラストが少しばかり印象に残っただけである。(いとうしんじによる挿絵を改めて眺めてみたが、「火星人ギーレン」というキャプションの入ったイラストは「こんなに酷かったとは!」と思うほど拙劣である。そういえば、少年時代に読んだH. G. ウエルズの「宇宙戦争」にもタコ足風火星人の挿絵が載っていたと記憶しているが、やはり足が多い方がエイリアンらしいということだろうか?)改めて読み返すと、「偏屈な即物主義者たち」という項にて「ひねくれ大王」として紹介されている。「ほとんど誰も振らないブルックナーの4番の初稿なんかを濃密に演奏しているのは驚きだ」「インバルよりも曲に対する親密度の高さは歴然」として、「ヤレばこんなにデキるんでないの。『ひねくれ』者め。」とあった。
 ギーレンの「ロマンティック」が一部で非常に高く評価されているという記述は、後にネット上でもチラホラ目にするようになっていた。とはいえ、ブルックナーCDの蒐集を開始した当初は改訂版同様に初稿も「際物」扱いだったから、聴いてみたいとは全く思わなかった。それ以前に廃盤で入手困難だったし。そんなある日、定期購読しているCDジャーナルの新譜輸入盤紹介コーナーにて、鈴木がHaensslerより再発されたばかりの3番を採り上げていたので、ふと魔が差して買ってしまった。これが思いの外優れた演奏だったため、続いて同レーベルから出た8番もHMV通販に予約して購入。やはり感心。その後、何とはなしに(「塔」店頭での安売りやネットオークションにて)567番も入手することになってしまった。しかしながら、Intercordから出たっきりの49番はヤフオクで途方もない高騰を見せる「超レア」ものであるため、高額入札してまで入手しようとは考えていない。いつかはHaensslerから再発されるだろうと高をくくっている。

2008年12月追記
 上の目論みは外れたものの、ヤフオクでついに4番をゲットした。

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