ルドルフ・ケンペ

交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」
 ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団(72)
 ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団(75)

交響曲第5番変ロ長調
 ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団

交響曲第8番ハ短調
 チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団

 「私のクラシック遍歴」ページにはカセットテープ版「音のカタログ」に収録されていたチャイコフスキー(第1番)およびグリーグのピアノ協奏曲の冒頭を聴いて「随分とカッコイイものだなあ」と思ったということを書いた。特に前者ではホルンの咆吼が(後に聴いたカラヤン&リヒテル盤やショルティ&シフ盤の突き刺さるように鋭い音とは全く異なる)どこか籠もったような渋い音で、どういう訳かそれが気に入ったのである。さて、その指揮者が他でもないケンペだった。つい最近HMV通販で検索し、2002年に国内盤(SICC58およびSICC59)が再発されていたと知った。オケはミュンヘン・フィル、独奏者はフレイレで私の記憶通りだった。(ただし「フレーア」と表記されていたはずで、デュオを組んでいたアルゲリッチも当時は「アルヘリッチ」だった。)両曲の組合せなら文句なしに買いだが、2枚に分かれ、しかもカップリング(グリーグ&シューマンは分からんでもないが、チャイコはなぜかドヴォの弦セレと抱き合わせ)に魅力を感じないため見送る。
 他に思い出といっても大したものはないが、院生時代に農学部図書館で「音友」を読んでいた時のこと、自殺した友人を回想した読者(おそらく青年)の投稿が妙に記憶に残っている。たしか「彼はルドルフ・ケンペが好きだった」と書いてあった。余談ついでだが、鈴木淳史は「クラシック名盤褒め殺し」の「死と浄化」(R・シュトラウス)の項にてケンペ&SKD盤を挙げていたが、「ケンペを聴いて、若い命を救おう」といういささかショッキングな見出しが付けられていた。著者によると、それは「ケンペが『若者よ、死を急ぐなかれ』と言っているような演奏で、多くの自殺志願者に聴かせてあげたくなる録音の一つ」なのだそうだ。彼も同じ投稿を読んだとまでは思わないが少々引っかかってはいる。(急逝したものの指揮者の死因は自殺ではなかったはず。なにゆえ鈴木が「ケンペ」と「自殺」とを結びつけたのかが謎だ。)こんなことしか書くことがない。私がクラシックに覚醒した頃、レコード会社や音楽ジャーナリズムの扱いは極めて小さかった。(CBSソニーに交響曲録音は残さなかったようだし、他には後述のブラームスのようにテイチクから発売されたというのも不幸だった。)そのため手堅さがウリの地味系指揮者という印象以外何も持っていなかった。さすがにケンペン(パウル・ヴァン)とゴッチャにするということはなかったが・・・・
 ブルックナー45番2枚組は東京出張の際に寄った渋谷のレコファンで買った。既にディスク蒐集は始めていたが、購入予定リストには加えていなかった。ただただ安かった(憶えていないが1000円前後?)からである。ところが、聴いてみたら両曲とも大名演で、それを全く予期していなかった私は「これは他曲も聴かねば!」と思い立った。しかし、当時リリースされていた音源は他になくガッカリ。その後2000年に8番が出たが、2枚組で3000円弱という国内盤とほとんど変わらない高価格のため、しばらく様子を見ていた。(国内外を問わず新品はよほどの廉価盤でない限り手を出さないようにしていた。)値崩れを待っていたのであるが一向にその気配はなく、結局はHMV通販のポイントがもうすぐ失効という時に仕方なく買った。(発売後2年になろうとしていた。)この演奏に最初は失望したのであるが、最近になって良さがわかりつつある。
 ブル以外ではマズアの4番ページで触れたブラ1(35CD-4)も買ったが、貧相な箱庭録音のため直後に手放してしまったのは既に述べた通り。(書き忘れていたが、大友直人時代のNHK-FM「クラシック・リクエスト」でエアチェックして聴いていたのもたぶんその演奏である。)よって現在所有しているケンペのディスクは上記3種類のみ。ただし、 "Great Conductors of the 20th Century" シリーズは収録のブル4や「英雄」の評判が高いこともあって前から気になっており、実は amazon.co.jp のカートに入れている。あいにく送料無料ライン(1500円)を少し下回っているため同時注文品の出現を待っている。また近いうちにアマゾンギフト券へ交換できる分のGポイントが貯まるため、それも横目に見ているところだ。いずれにしても上のリストにもう1種が加わる可能性は極めて大(時間の問題)である。→ この執筆直後に件の品が税込1504円に値上がりしたため(少々不満ながらも)単品で注文するに至った。不満ついでだが、なぜか「犬」通販ではこのシリーズのうちケンペだけが不当に高い。他は「キャンペーン税込価格」として1200円前後だったというのに(ブツブツ)。

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