メカーノ(Mecano)
 次鋒として登場してもらうのはMecano(メカーノ)である。(←これじゃまるで武道や相撲の団体戦だよ。)思い入れの強さからして、これは極めて妥当な選択である。
 名を知ったのはNHKラジオスペイン語講座のテキストである。応用編を聴くために定期購読していたのだが、たまたま入門編のページをめくっていたところ、ある日のスキットの終わりに「メカーノのコンサートに行くんだ。彼らは最高だよ。」という台詞を見つけたため記憶に残った。その後、FM雑誌のラテン音楽特集か新譜紹介かはハッキリしないのだが、アルバム "Aidalai" が採り上げられていた。特に興味を覚えたというほどではなかったので、その後徒に年月が過ぎただけである。が、何とはなしにこのアルバムを入手することになった。
 その経緯もイマイチ定かではない。大学近く(坂を上る手前)のレンタル屋でまずCDを借りたのか、それともレンタル落ちの品をその店で買ったのか、あるいは最初から行きつけの中古屋で見つけたディスクに飛びついたのか。いずれにしても96年の夏には聴いていたはずである。「ブルックナーのページ」の指揮者クーベリックの目次ページには、研究室旅行で部屋に籠もってラジカセで音楽を聴いていたということを書いたが、その際に "Aidalai" を繰り返し聴いていたのである。(私の記憶に間違いがなければ、モセダーデスの "20 de Colección" の次に買ったラテン音楽のCDである。)詳しくはディスク評ページに記すことになるだろうが、"Tú" にすっかりハマってしまったからである。女性ヴォーカルAna Torrojaの透明そのものの声による囁き攻撃に負けた。
 その後しばらくして当サイトのタイトルの元ネタである "Descanso Dominical" をゲット。こちらは今池の中古屋に置いてあったのを喜び勇んでレジに持っていったことをしっかり憶えている。これは想像をはるかに上回る大傑作だった。これで勢いづいた私は続いて輸入盤店(たぶん「塔」)でふと目に入った "20 Grandes Canciones" を購入。が、後で判ったことに、それは "Descanso Dominical" 以前の作品からピックアップしたベストアルバムで、聴いての印象は「そこらへんにいるフツーのロックバンド」というもの。つまり全く期待外れだった訳で、程なくして人手に渡ることとなった。このディスクによって大ブレイクする前の彼らの実力と音楽の特徴がだいたい判ったため、抱きかけていた初期作品、すなわち "MECANO"(1982)、"¿Dónde está el País de las Hadas?"(1983)、"Ya viene el sol"(1984)、"MECANO en concierto"(1985)、"Entre el cielo y el suelo"(1986)、および "Lo Último de MECANO"(1986)への関心がいっぺんに薄れてしまった。今後もそれらを聴いてみようという気にはまずならないだろう。
 一方、"Aidalai" 以降パッタリと新譜発売が途絶えているのを不思議&不満に思っていたが、あるウェブサイト(オフィシャルであるか否かは今も不明)にてグループ活動が休止中(各々がソロとして活躍)であることを知る。そういう状態のまま既に何年も経過していたこと、およびメンバーの1人(Cano兄弟のどっちだったかは忘れた)による「もうMecanoは棄てた」という発言も何かで読み、「これで打ち止めとは勿体ないなぁ」と非常に残念に思った。仕方なく、という訳でもないが、先述のサイトでトローハ初のソロアルバム "Puntos Cardinales"(1997)が出ると知ったため市内の輸入盤店(やはり「塔」)で購入した。
 翌年に滋賀に移ってからもメカーノのCD2枚はよく聴いていたが、新たな音源が増えないのは不満だった。そんなある日のこと、yahoo.co.jpで「メカーノ」をキーワードとして検索し、結果ページに表示された場所に行ってみた。(当時のサーチエンジンは今と比べたら情けないほど非力だったため、たった2件しか出てこなかったはずである。もう1件はたしか機械関係だった。)それが中部圏在住Nさんのスペイン総合サイト(註)である。(先日久しぶりに訪問しようとしたところ、移転とともに模様替えされていたことが判明したが、中身は概ねそのままだった。)その「スペインポップス」コーナーに2枚組 "ANA|JOSÉ|NACHO" が紹介されていた。期間限定だったため私は全く気が付かなかったが、メカーノは復活していたのである。もちろん翌日生協カウンターに駆け込んで注文した。心待ちにしていた新譜に胸は躍った。が、いざ入手してみたら、新録音は一部(8/30)のみで残り(22曲)は過去作品からの寄せ集めという「セミベストアルバム」であると判明した(ちょっとガッカリ)。そして、肝心の新作も音楽の質こそ低くはなかったけれど、少なからぬ物足りなさが残った。結局、再度の活動停止(現在も継続中、というより実質的に解散)ということになったが、それも無理もないという気がした。何にしても、メカーノをモセダーデスと同じく過去の音楽集団として紹介しなければならないのは少々残念である。また、トローハの2ndアルバム "Pasajes de un Sueño"(1999)を発売直後に購入したものの、CDの棚が満杯になった時に前作もろとも人に譲ってしまった。彼女の声が衰えたというようなことは全くないが、やはり何かが足りないように感じられたためである。なので以後リリースされたソロアルバムにも手を出す気にはなれないでいる。

註:Nさん主催の掲示板が私が最初に居座った場所である。この際だから、その後の遍歴を思い出しつつ書いてみたい。次は南米関係のK氏のところだった。私がRAE(アルゼンチン海外向け放送局)を訪問した話に「うらやましい」と返してもらったりしたが、何回か書き込んだ後にレスがパッタリ付かなくなった。「もしかして長期不在なんだろうか?」と思っていたところ、彼は自分が主催する他の掲示板には姿を見せていることが判明した。ガッカリである。確かに当時の私は場所もわきまえずに長文をたて続けに投稿していたかもしれないが、無視するとはあんまりである。それですっかり嫌気がさしてしまい、その後も南米関係サイトにはなかなか足が向かなかった。(一時期アルゼンチン在住のTさん (ただし名) 、およびパラグアイ在住のTさん(こちらは姓)による現場発信のサイトを閲覧するようになった。長いこと足が遠のいているが。)続いてNさんの掲示板の常連だったOさん、さらに彼のネット仲間Yさんのサイトに行くようになった。彼らの掲示板には感じの良い人達が集っていたのでしばらく常駐することになった。さらに身の程知らずにも(=全然詳しくないのに)ポルトガル関係のGちゃん(決して「爺ちゃん」ではない、なお「ちゃん」付けは彼自身が行っている)の所にも首を突っ込むようになった。
 さて、そのGちゃんのBBSでポルトガルの音楽が話題になった際、好きな集団として私がマドレデウスを挙げたところ、「それなら当方で扱っているのでお越し下さい」などと誘って下さったのがご存知横浜のKさんである。お邪魔した直後から私は長文投稿(Kさんは「爆弾」あるいは「爆撃」と呼んでいた)を連発したが、煙たがったりすることなく応答していただいた。(長文といえば、ある文学関係サイトの掲示板に99年初頭からしばらく数千字単位の文章を次々と作成しては書き込んでいた。今思い出してもどこからあんな情熱が湧いていたのか不思議なほどである。もうあんなことは二度とないだろう。)そんな訳で居心地があまりにも良かったため、今も彼の複数BBSおよびブログに顔を出し続けている。その後KさんつながりでSさん(首都圏在住)、Mさん(関西圏?)、別のSさん(札幌在住)のBBSにも遠征するようになった。さらに自転車遠乗りを始めるようになってからは「峠の神様」こと岐阜のNさんの所に通うようになった。(が、最近はすっかりご無沙汰である。他のBBSも同様だが、特に嫌な思いをしたわけでもないのに何故かそうなってしまうのだ。)
 ところで、最近NさんのBBSを覗いてみたところ少し前にOさんが投稿されていた。彼はサイトの更新を停止し板も閉めたらしい。ここで私がかつて足を運んでいたサイトの多くが今では消滅あるいは開店休業(更新停止)状態に陥っていることに思い当たった。そういえばダイエーホークスの公式BBSも(私が直接の原因を作った訳ではないにせよ)閉鎖されてしまった。自覚はないのだが私は疫病神なのだろうか? にもかかわらずKさん、北の国のSさん、およびNさんのサイトがビクともしないのは、おそらく彼らがよほどの「鉄人」だからであろう。

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