ジョルジア(Giorgia)
 この歌手のことを知ったのはアンドレア・ボチェッリの大ヒット作 "Romanza"(邦題「ロマンツァ」)によってである。(そのアルバムについては既にドゥルス・ポンテスの "Focus" 評で触れているが、新たにページを起こして何か書くかもしれない。)名曲揃いの中でも最も気に入ったのがトラック8 "Vivo per lei"(邦題「彼女のために生きる」)だったが、理由は共演歌手の素晴らしさだった。そして圧倒的な歌唱力により(音程が少々怪しげな)主役を食ってしまうほどの存在感を示していたのが他ならぬこのジョルジアである。これは是が非でも聴かねばならぬという使命感に燃えた私は直ちに生協ショップに駆け込み、カタログに掲載されていた彼女のディスクから1枚を選んで注文した。そこまでは良かったのだが・・・・あいにく「凶」を引いてしまったようだ。"Mangio Troppa Cioccolata"(1998)は全くの期待外れ。数回再生した後はほとんど聴かなかった。
 これで一旦縁は切れたのだが、それから数年後(2005年)のある日、NHK教育テレビ「イタリア語会話」の音楽コーナーで紹介されていた彼女のビデオ・クリップを眺めていたら無性に聴きたくなった。やっぱり上手いものは上手い。(ジョルジアはこの番組の常連といってよい。)そこで同じ轍を踏まぬよう(および格言「困った時はベスト盤」に従い)"Greatest Hits (Le Cose Non Vanno Mai Come Credi)"(2002)を試聴してから、そして先の番組で流れていた "Girasole" も収録されていると確認した上でHMV通販より購入した。こちらは「中吉」と「小吉」の間ぐらいという印象。
 ところで同所のユーザーレビューにて「もっと日本でも評価されてよい歌手だと思います」「こんなに優れたセンスを持っていてかつ、イタリアいや、ヨーロッパを代表するアーティストなのに日本語訳、解説付きの日本盤はなぜ出ないんだ?Bmgさん頼むよ!!」「何故日本盤が発売されないのか不思議でなりませんね…」といったコメントを目にした私はまさに我が意を得たりという気持ちだった。つまり「これだけの実力者を完全に黙殺している国内レーベルは実にケシカラン」と怒り心頭だったのであるが、それが必ずしも正しくないことを後に知った。今年(2007年)、ラウラ・パウジーニの "Le Cose Che Vivi" の格安中古を見つけたのと同場所(リサイクルショップ)&同日に "Come Thelma & Louise"(BMGビクターが1995年に「テルマ&ルイーズのように」の邦題にてリリース)を買った。これも信じられないような値段だったが、帰って開けてみたら「SAMPLE」「見本盤」の刻印があった。結果は今度こそ「華丸」、いや「大吉」であった。何にせよ、その1枚しか国内盤が出ていないという状況に私は腹立たしさを抑えることができない。現在どのレーベルが発売の権利を有しているのかは知らないが、担当者によっぽど見る目が、いや聴く耳がないに違いない。

その他の地域の音楽のページに戻る