交響曲第7番ホ長調
ギュンター・ヴァント指揮北ドイツ放送交響楽団
99/08/28
DENON TDBA-98075〜82(DVDボックス)

「ギュンター・ヴァント&北ドイツ放送響 ライヴ映像集成」によって新規入手したブルックナー中で最も期待を寄せていたのが実はこの7番であった。何せBPO盤はあんなん(=印象サッパリ)だったし。(で今更ながら気付いてみれば、両盤の録音時期は3ヶ月も隔たっていなかった。)で案の定というか、印象は当盤の方が格段に上だった。演奏時間に大して違いはないもののBPO盤のようにダラけたところが全くない。高水準の92年NDR盤と比較しても同等以上の完成度を示していると思う。
 第1楽章4分16秒でハ長調に転調してからは静謐さを湛えたまま盛り上がっていく。大した業だ。ここはグイグイと勢いよく進む92年盤も悪くなかったが、やはり円熟の境地が感じられるのは嬉しい。(7年経ってるんだから当然か?)といって変に枯れたりもしておらず、同楽章コーダ前の「トタン屋根連打攻撃」も健在だった。またアダージョではハース版クライマックスが実にしっくり来ていたし、後半2楽章も力強さと精密さを兼ね備えた好演。
 曲の性格が少なからず関係していると思われるが、468番のような音質に対する不満を覚えずに済んだのは非常に大きい。92年盤より明らかに脂が乗っている感じだが、不健康な乗り方では決してない。喩えるならEPAやDHAをタップリ含む魚料理だろうか?(逆にBPO盤はLDLコレステロールや中性脂肪の値をしっかり上げてくれそうな霜降り肉を想像してしまう。)ということで、ヴァントの7番中では文句なしにマイ・ベストとなった。

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