交響曲第5番変ロ長調
ギュンター・ヴァント指揮ベルリン放送交響楽団(西)
83/04/03
sardana sacd-201

 バイエルン放送響盤のページに記したように、本来82年の演奏を収録したはずの向こうが海賊盤製造業者により「83年録音」としてリリースされていたため、この猿棚盤もどうせ同一音源だろうと早とちりしていた。(あちらの「おまけ」にて挙げていなかったのもそういう事情による。)が、後にBerky氏のサイトでは別種として扱われていると知り、Yahoo! オークション経由で入手するに至った。ちなみに届いた品のジャケットには "Radio Symphony Orchestra, Berlin" とあるが、ケース裏は "DEUTSCHE SYMPHONIEORCHESTER BERLIN" となっている。(もちろん改称前なので前者が正しい。)こういう非合法品ゆえのデタラメにもすっかり慣れっことなった私だ。なお、演奏年月日が表記されていないので氏のディスコグラフィおよび青裏販売業者の情報を信じることにした。
 先述のBRSO盤の1年数ヶ月後の演奏ゆえ解釈に大きな違いはない。同様の「バリバリヴァント」スタイルである。だが、その「バリバリ」ぶりが凄まじい。録音も原因しているだろう。多少のヒス混入はあるものの臨場感は抜群である。(ついでながら会場ノイズもタップリ入っている。)だが、それ以上にオケのやる気が伝わってくるのが嬉しい。第1楽章2分06秒からのファンファーレに度肝を抜かれてしまった。第2楽章4分過ぎ(ハ長調に移って以降)の推進力も非常に印象深い。両端楽章の終盤やスケルツォ主部は言うに及ばず。この共演はヴァントが同オケとの関係を結んだ比較的早い時期に実現したと勝手に思っているのだが、それゆえの緊張感と積極性が幸運な結果をもたらしたといえるだろう。時に粗っぽさも耳に付くが、熱気が感じられるという点でヴァントの5番録音中随一である。終演後の拍手喝采も当然だ。(切るの早すぎ。)ということでランキングの大胆な組み替えを実施(強行)することにした。呆れられること必至だろうが。

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