交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」
ギュンター・ヴァント指揮北ドイツ放送交響楽団
90/06/24
DENON TDBA-98075〜82(DVDボックス)

 最近ヴァントの90年盤(BVCC-37248)を再生する機会が増えている。聴き疲れが全くしないからだ。同じ「何の変哲もない」系のスウィトナー盤やシュタイン盤と比べても一日の長があるように感じられる。上手くは言えないが、やはり仕上げの細かさに尽きるのかもしれない。
 さて、この映像が収録されたのは上記CDのレコーディング直後(90/06/17〜19)であるから解釈がそんなに異なっているはずがない。テンポの切り替えや間の取り方など若干こちらの方が大胆で勢いも伝わってくるものの、その反面やや荒っぽいと聞こえなくもない。が、これは好きずきの範囲だろう。むしろ言及すべきは演奏会場。8番87年盤および9番88年盤と同じくリューベック大聖堂である。(ちなみに、この8枚組ボックスでは唯一である。あとDISC7収録のシューベルト5番とブラームス1番は97年にキール城で演奏されたが、他6枚はどれもリューベック・コングレスハレでのライヴである。)なので残響過多は改めて述べるまでもない。NDRの響きの薄さがある程度補われているとして肯定的に評価できる人もいるだろうが、これを通しで聴くのは正直辛かった。(註:視覚が評価の妨げにならぬよう例によって青裏に焼いてから試聴した。当ボックスの他盤についても同様である。)89番と違って4番は残響をメリットとして活かすことが極めて困難な曲なのだろうか? 何にせよ、これは映像あってナンボの演奏という気がする。

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