交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」
ゲオルク・ティントナー指揮ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団
96/10/16〜17
Naxos 8.554128

 ティントナーのブルックナーCD購入は初稿使用の38番だけのはずだったが、ネットオークションで479番がまとめて出品されていたのを見て、出来心で入札したら出品価格そのままで終了してしまった。たしか諸経費を入れても1000円をちょっと超える程度で、非常にお買い得だった。
 21分半を要する第1楽章は非常にゆったりした足取りで進む。何となく、ベームやハイティンクとウィーン・フィルとの演奏と似ていると思った。(後に入手したエッシェンバッハ盤も同タイプ。ともに「美音派」であるチェリ&MPO盤、およびカラヤン70年盤もスローテンポだが響きはかなり違う。)けれども、完成度はこっちの方が断然上じゃないか、と思った。既にハイティンク盤のページで述べたが、そちらはアンサンブルがかなり雑に聞こえるし、ベーム盤はそこまで酷くはないものの、仕上げの細かさという点で明らかに当盤に水を空けられていると感じる。「オーケストラの有名ブランドって一体なんだろう」と疑問に感じたことをよく憶えている。もちろん響きの厚さ(音の密度)はVPOやBPOなどと比較すればはるかに薄いけれども、この曲ではそれが5番のようには弱点とならない。適正な音量で聴けば十分に音楽を堪能できる。もし「素朴さ」を求めてこの曲を聴くのであれば、真っ先にお薦めしたいのが当盤である。この曲については、「洗練の極み」とでもいうべきヴァント&BPO盤の対極に位置するような演奏もアリだと私は思っている。(日本語解説さえあれば文句なしに「ファースト・チョイス」であった。惜しい!)

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