交響曲第6番イ長調
ハンス・スワロフスキー指揮ウィーン祝祭管弦楽団
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CENTURION CLASSICS IECC10018(全集)

 スワロフスキーはもちろん実在の指揮者だが、ブル6を録音したという事実はないのかもしれない。Berky氏のサイトにはバンベルク・フィル、南ドイツ・フィル、そして上記のウィーン祝祭管による3種がリストアップされているが、いずれも "Swarowsky (Pseudonym), Hans" となっている。さらに全集のディスコグラフィでは "Swarowsky   Vienna Festival Orchestra (Most likely Scholz)" とあるから、あるいはショルツが尊敬する師の業績にしたかったのかもしれない。とはいえ、氏は同じ全集に採用されたバーンズ&ベルリンRIAS管による1番のように "Actually G.L. Jochum" とは断定せず、「おそらく」レベルの表現に留めているから、こちらも白黒がハッキリするまではスワロフスキーの演奏としておく。なお今回試聴したのはモノラル録音(紙ケース裏に "Recorded: 1950" と表記)であるが、同じウィーン祝祭管盤でも後にヤフオクにて見つけたPreludio盤には "Stereo Recording: 1960" とあった。ただしトラックタイムはかなり近い。ということは、わざわざモノラル化して10年前の演奏に仕立て上げたのだろうか?(そう思って聴けば、確かに音の拡がりがないだけでノイズ混入は皆無。モノラルとしては最上質の部類に入る。1950年の録音にしては不自然なほどだ。)その真意は今一つ理解できないけれども、恩師や友人を立てようとするショルツの心意気には改めて頭が下がる思いだ。
 トータル51分半は6番では相当速い部類に入るが、やはり再生してみたら極めて流麗な演奏という印象を受けた。ただし両端楽章ではギヤチェンジを多用しているので、遅いところは流れが滞っているように聞こえなくてはいけないはずだ。ところが実際にはサラサラと過ぎ去ってしまう。ティンパニのドロドロ音があまり前面に出てこないことも影響しているような気がする。これも聴き手に正体を察知されないため何らかの処理を施したのだろうか? などと、いろんなことを考えさせてくれる演奏ではあった。

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