交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」
オトマール・スウィトナー指揮シュターツカペレ・ベルリン
88/10/10〜14
Deutsche Schallplatten TKCC-15012

 「欠点がないのが欠点」という人がたまにいる。(私とは正反対である。)あまりに隙がないため、取っつきにくく感じてしまうのだ。ヴァントNDR90年盤ページは明らかな手抜きをしてしまったが、あの演奏もそれと似ている。BPOとの演奏のようにバリバリと凄まじい響きを立てるなど際立ったところがあれば、もう少し何とか書きようがあったのだが。
 当盤の印象もそれに近い。目次ページで長々と触れた「第九」と同様、ここでもスウィトナーは奇を衒ったところの全くない、極めて正統的なスタイルを貫き、それでいて見事としかいいようのない名演を成し遂げてしまっている。(ちなみに解説執筆者の宇野功芳も、全集録音の第2弾となるこの演奏について「オーソドックスな指揮ぶり」と評していたが、個性的な表現が見られた8番録音からスタイルの変化があったと指摘している。その第1弾の8番の解説も宇野が担当しており、確かにそこでは「非常に個性的な解釈」「ドラマティックな解釈」などと書かれていた。が、私はスウィトナーの8番に対しては別の見解を持っている。そちらのページを参照されたい。)こういう演奏は、ヴァントのように超一流の実力の持ち主でなければ絶対に不可能である。各楽章のテンポ設定、4つの楽章のバランス、パートの分離、どれも申し分ない。あえて注文を付けるとすれば、オーケストラが一斉に鳴る箇所で、弦楽器がちょっと弱いかなと聞こえたことが何回かあったぐらいか。それも指揮者が意図して抑えたのであれば、「私の好みに合わないだけ」として片付けられてしまうのだが。

4番のページ   スウィトナーのページ