交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」
スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ指揮ザールブリュッケン放送交響楽団
98/10/25〜28
BMG (Arte Nova) BVCY-38033〜44 (全集)

 この演奏はいい! カラヤン75年版と同じく、1楽章のヴァイオリンのオクターヴ上げ、中間部のティンパニ、終楽章冒頭のシンバルと中ほどのティンパニという改訂版のアイデアを採り入れているが、カラヤンのような「やりすぎ」と思わせるような解釈はしていない(例えば1楽章コラールのティンパニの入る箇所でテンポを落としすぎたりしないし、最後の「グァン」もない)ので、改訂版もどきの演奏を落ち着いて聴くことができる。全曲を通して遅めのテンポであり、実に堂々とした演奏であるといえる。(受ける印象はトラックタイムが結構近いカラヤンの70年盤と似ているけれども、音の良さで当盤の圧勝である。)曲の特性からいえば「もう少しドラマティックであっても」という気もしないでもないが、それは贅沢というものであろう。
 録音も秀逸。ライヴの雰囲気を収めつつ、後の編集によって会場ノイズを除いたのだろう。こういういい演奏を聴いてはじめて、音質にまでコメントしようという気にもなる。今回改めてこの全集を聴いたが、猛練習の成果であろう、アンサンブルの乱れは全く聴き取れない。解説書に掲載されているインタビュー中の「レベルから言っても、ケルンやハンブルクなどの、ドイツのほかの放送オーケストラに引けを取りません」という指揮者の言葉に嘘はない。

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