交響曲第7番ホ長調
ジュゼッペ・シノーポリ指揮シュターツカペレ・ドレスデン
91/09
Deutsche Grammophon UCCG-9544
2004年12月に廉価限定盤(定価1000円)として再発。この値段ならダメモトであるから、とりあえず身柄を拘束した。が、録音第1弾の4番とは異なり、指揮者の「解釈」をかなり感じる演奏であったため少々ガッカリであった。第1楽章5分20秒からの加速がそうだし、8分24秒以降のチェロの旋律もちょっと遅すぎの感がある。コーダのキビキビした足取りもそれ以前のノロノロとバランスが取れていない。テンポ以上に響きが独特で、6分30秒のファンファーレが弱音なのは他に例があるものの、トランペットが途中でどこかに行ってしまうのは初めて耳にした。アダージョも途中までは良いが、クライマックスはいかにも大袈裟というか作為的で、しかも最後がアッサリなのはいただけない。また、当盤でも「ヨッフムの亡霊」というべきド派手音色が鳴り響き、それが後半2楽章では全開となる。この騒がしさは4番以上にマイナスだ。
などといろいろ論ったが、実際にはテンポ設定もパートバランスも概ね妥当である。逆説的かもしれないが、それゆえ細かいところが妙に気に障るのである。(最初から最後まで好き放題暴れまくっている演奏なら、こちらとしても最初からまともに相手をする気がない分、気は楽である。要はどっちつかずということか?)例の分析癖によって些細な部分にこだわりを示し、時に「マーラー的」と評されることもあるシノーポリ独特の演奏スタイルは、(他の曲なら隠し味の効果を発揮するとしても)この7番の性格とは相性があまり良くないということだろうか。「スパイス利きすぎの純和食」という喩えが浮かんでしまったが、あるいは「7番の演奏は素朴であるべき」という考えに私が毒されてしまっているためかもしれない。ということで、音楽に浸るにはあまり向いていないが、優秀録音でちょっと変わった演奏を聴きたいという方にはお薦めだ。
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