交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」
ハンス・シュミット=イッセルシュテット指揮北ドイツ放送交響楽団
66/12/14〜16
Tahra TAH 9901〜2

 少し前、某掲示板のブル4スレッドにて「オケメンの『あ〜このフレーズ何十回さらったっけかなあ』という怨念がましい情念が聴こえる」というヴァント90年盤の推薦コメントを読み思わず笑ってしまった。当盤はその24年前に録音されているが、それに負けず劣らず隙のない演奏であり、目次ページで触れたシュミット=イッセルシュテットの緻密な芸風が存分に発揮されている。(テンシュテットの録音が聴けないのが残念だが、)NDRはヴァントが着任した時点で既に十分に鍛え上げられていたに違いないと思わせるほどに完成度は高い。が、ヴァントほどは神経質と聞こえないのはなぜだろう? 当盤の方がトータルタイム、および終楽章以外のトラックタイムが若干長いため、セカセカ感が少ないことも一因であろう。が、それだけで説明できるとも思えない。で、いろいろ考えたのだが結局よく解らなかった。ただし、両盤の音質の違いは少なからず影響しているようである。当盤は録音が古いせいか分離はイマイチで響きも少々混濁している。これに対し、ヴァント盤は透明感抜群で響きがトコトンまで整理されていると感じる。それが録音に起因するか否かには関係なく、指揮者が自身の意図を徹底させようとした結果であると受け取ってしまうのである。要は私が「偏執狂」というイメージにとらわれ過ぎているのかもしれないが、ヴァントの洗練された演奏スタイルだと薄手の響きに物足りなさを覚えてしまったのは事実である。その点、当盤は音にどことなく混じり気のようなものを感じるため、薄味という不満を抱くようなことはなかった。ただし第3楽章はいかにも野暮ったい印象でいだだけない。あとは好きずきの問題で逃げておく。

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