交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」
ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮フィラデルフィア管弦楽団
93/03/06〜08
EMI TOCE-11632

 サヴァリッシュがフィラ管主席の座に就いた年の録音である。(ブルは結局それっきりになってしまったが・・・・)そのディスクの存在は知っていたが、敢えて入手しようという意欲は湧かなかった。ヤフオクで長いこと1400円の品を見てはいたものの流れるままにしていた。2008年6月に1000円を切って出品されていたのでダメモト入札したらそのまま落ちた。
 オーマンディ時代の豪華絢爛さは若干減じたようだが、その分落ち着きが感じられるので一長一短といったところか。驚いたのは第1楽章冒頭からの堂々たる歩み。(トラックタイムから予想していたテンポとは少なからず異なっていた。)そして最初の「ドーソーファミレドー」の爆発の直前に大見得を切るのも実に劇的な表現である。以前の指揮者からは考えられなかったことだ。「これはまさに大家の演奏じゃないか!」と思った私だが、同時に「何でこれが20分以内に収まってしまっているのだろう?」という疑問も湧いてきた。で間もなく謎は解けた。第2主題提示がセカセカなのである。その前との落差がいかにも大きすぎる。ここだけは「堅実なだけでつまらない」のサヴァリッシュに逆戻りしてしまっているような感じ。中間部や再現部では剛胆さが戻り、スケールの大きい演奏を繰り広げているだけに惜しい。
 以降の楽章にも「いい演奏なんだけど、もうちょっと何かが欲しいなあ」という思いが残った。なお、第3楽章はトリオ開始から別トラックになるが、この区切り方は全く不可解だし、リスナーにとっては頭出しの妨げにしかならない。

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