交響曲第3番ニ短調「ワーグナー」(1877年第2稿)
ゲンナジ・ロジェストヴェンスキー指揮ソヴィエト国立文化省交響楽団
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BMG (MELODIYA) BVCX-38003〜4

 「毒を食らわば皿まで入札」である。4番初稿評ページを参照していただきたいが、あちらの落札確定後間もなくヤフオクで発見した。また「ダメモト入札」(開始価格1000円キッカリの入札)でもあったのだが、高値更新されることなく終了した。
 DISC1の2番には何もコメントするつもりはない。そして、本命だったはずの3番についても実は似たり寄ったりだったりする。まあイマイチ冴えない2稿を派手派手サウンドで堪能できるということで、入手した甲斐はあったということにしておこう。(特に3稿と比べれば相当に聴き劣りのする第1楽章のクライマックスをあそこまでワッショイワッショイと盛り上げてくれているのだから言うことはない。ここでもアダージョ終盤など金管の絶叫大会になってしまっているのはご愛嬌だが。なお当盤はエーザー版使用らしくスケルツォのコーダはない。もし演奏されていたら「チャッチャチャッチャ、チャカチャカチャカチャカチャカチャカ・・・・・」がさぞかし滑稽に響いたことであろう。ちょっとだけ惜しい。)豊富な残響のお陰で低弦のゴリゴリから並々ならぬ威圧感が伝わってくるのも嬉しい。
 さて、これでコツコツ地道に集めてきたロジェストヴェンスキーのブルックナーもあらかた揃ったことになる。3番は初稿が未入手だが、このシリーズの国内盤2枚組(BVCX-38005〜6)以外に入手の道はなさそうである。併録されている3稿を既に確保しているとはいえ、既所有のREVELATION盤とは別演奏だから当盤同様の安値なら手を出すかもしれない。問題なのは4番の2稿だ。これが手元にないのは何としても痛い。が、BVCX-38009〜10は廃盤で入手困難、加えて抱き合わせの5番がICONE盤とモロ被りとなる。(もちろんVeneziaの箱はお呼びじゃない。)どこでも構へんから単品を再発してくれんかのう?
 ところで今更ながらも気が付いたのだが、「至れり尽くせりのブルックナーオタクとブルックナー学者専用全集」(by 浅岡弘和)のはずなのに8番初稿が欠けている。当盤ブックレットにも「この時点で、『第8番』の第1稿を除いて、当時アクセス可能だった全ての異稿が収録されていたことになる」と書かれているけれど、ロジェヴェンがそれを敬って遠ざけたのはなぜだろう? フェドセーエフ盤をも上回る凄演&名演が残された可能性が高いだけに残念でならない。

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