交響曲第8番ハ短調
ハインツ・レーグナー指揮ベルリン放送交響楽団(東)
85/05
BERLIN Classics 0031182BC

 (こればっかだが)トータル75分01秒。他の指揮者のディスクに混じっても全く違和感のない、あるいは平均的な演奏時間である。(統計を取ったことはないが・・・・)おそらく他の曲は全て快速演奏ランキングの上位に入るであろうレーグナーとしては、これは異例中の異例であり、非常に注目すべきと言わざるを得ない。75分で収まっているのも第1楽章と第2楽章がそれぞれ12分台、13分台の快速テンポを採用しているからで、もしこれらがともに15分ジャストだったとしたら、何とか1枚に収まるという79分台になっていた計算になる。ということで、注目したいのはやはり後半楽章である。(というより、セカセカの前半楽章はあんまり聴きたくない。1楽章は聴かせ所のカタストロフでさらに加速するのが全く興醒めだし、スケルツォ主部は言語道断と言いたくなるほど速い。トリオが遅いお陰で何とか13分台に乗っているが、そうでなかったら12分を切っていたであろう。)
 後半楽章には文句を付けるところがない。版の選択にせよテンポ設定にせよ。特にフィナーレでは、第1楽章同様に激しい楽章ながらもせせこましくテンポを変えないのが素晴らしい。さらに響きの明晰さだが、優秀録音と優れたアンサンブル、そして忘れていけないのが「透かし彫り」、これらが三位一体となった効果であろう。(BERLIN Classics による4〜8番のケース裏には、いずれも "NO NOISE-SYSTEM" という表示があるが、レーグナーのブルックナーに関する限り、そのデメリットは特に感じられない。)パートの分離は抜群で、楽器が交替で主題を奏でるところがハッキリ聴き取れるし、全奏でも音が全く濁らない。なお、弦の力強い刻みをバックに金管が鋭い牙を剥いて襲いかかるところは、まるでソ連のオーケストラのようである。ロジェストヴェンスキーの演奏と偽って聴かされたら信じてしまうかもしれない。

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