交響曲第6番イ長調
ハインツ・レーグナー指揮ベルリン放送交響楽団(東)
80/06/19
BERLIN Classics 0030952BC

 トータル52分台で、これまたあまり例のない超スピードの演奏である。規模の小さい曲に合っているとはいえる。ここでも5番で触れた「透かし彫り」技法が見事で、第1楽章終盤の13分20秒で一度音量を落としてから盛り上げるところの美しさには溜息が出るほどである。また、スケルツォ主部の終わりで例のティンパニのケレンをやっている。ただし、速い部分で時にアンサンブルが合っていないように聞こえるのが惜しい。ブルックナー総合サイトに掲載されているオーナー自身のディスク評にも、「残念なのは、オケがメタリックというか荒い演奏が目立つこと。トップオケでないとこうした表現は生かし切れないのかもしれない」とある。 社会主義国体制下のレコーディングとしてはちょっと雑ではないかと私も思うが、つまらない曲をキッチリやってもつまらないだけなので、指揮者としてもちょっと暴れてみたくなったのだろうか。その結果として少しばかり乱れてしまったということかもしれない。終楽章は冒頭からインテンポで進めているのに、1分25〜40秒まで大きくテンポを落としているが、このようなレーグナーとしては珍しい「御乱心」も堪りに堪った指揮者のストレスを物語っている。(なんちゅう勝手な想像!)けれども、遅い(とはいいながらアダージョよりもアンダンテに聞こえる)第2楽章は最初から最後まで隙がなく、その美しさに浸っていられる。レーグナーによるブルックナーの緩徐楽章としては最も充実しているように思う。

6番のページ   レーグナーのページ