交響曲第5番変ロ長調
ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団
65/04/13
SONY Classical SBK 48 160

 トータル72分台で4番同様の颯爽スタイルによる演奏である。立ち上がりから大いに期待を抱かせたが、結局それは最後まで裏切られなかった。既に評執筆を終えた旧東独系指揮者による快速型演奏は例外なく見事な出来だったが、当盤はそれらに混じっても全く遜色ない。というより、機動力とゴージャスな響きを持ち合わせているため少なくとも二枚は上手であると言ってしまおう。何かといえば「欧州大陸>米合衆国」という定式(←不等式だが使用可能か?)を持ち出し、オケを評する際にはそれで片付けてしまおうとする一部の評論家は、プロとしては全く情けないことだが当盤のような名演の存在を知らない、いや最初からバカにして聴こうとすらしていないに違いない。
 なお、第1楽章の7分33秒でクナの亡霊が姿を見せる。といっても4番と同じく改訂版由来のティンパニが鳴るだけなのだが、その時点で予想していたように両端楽章ラストがドンチャン騒ぎになるようなことはなかったし、アダージョも「ソードーレミーソード」と原典版風に締め括っていた。そうなると単なる気紛れか?(指揮者のアイデアと考えるのが普通だが、奏者の独断=アドリブだったとしたら笑ってしまう。ありえへんか?)また、ここでも録音について触れるが、ヘッドフォンで聴いていたら第2楽章6分03秒で左チャンネルの音の歪みを確認した。よって、大手メーカーとしては恥ずかしいことであるが、4番スケルツォの欠落もテープ損傷の可能性が高い。

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