交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」
ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団
67/10/09
SONY Classical SRCR 1628

 ワルター盤ページには「音のカタログ」に収録され、私が生まれて初めて聴いたはずの演奏なのに首を傾げてしまったということを書いた。既にそちらや目次ページで仄めかしていたが、「これだったのか!」と思わず膝を打ったのが実は当盤である。第1楽章1分22秒からのテンポといい躍動感といい、胸をワクワクさせながら繰り返し聴いていたあの演奏の記憶そのままだったのだ。輝かしい、といってケバくもなく下品でもなく格調高い音色は掛け値なしに素晴らしい。その点では「世界最高」という褒め言葉も決して大袈裟ではないと言い切れる。「表面だけの艶と磨きのかけられた」という吉田評なんぞ糞喰らえじゃ、と珍しくヒデカズ先生に罵詈雑言すら浴びせたくなってくる。颯爽としたスタイルは勇壮な曲想との相性抜群で、「英雄」に勝るとも劣らないオーマンディの大傑作といえるだろう。
 これまで「ニュートラルな音色が効果を発揮している」などとしてハレ管やNYPといった英米系オケの演奏を高く評価してきた私だが、やはり少しでも精度の高いものを求めるのは当然である。ここでも当盤は申し分なく、同一系統のディスクとしては群を抜く出来映えということにもなる。(唯一の可能性としてセルが録音していれば対抗できていたかも。)これだけ充実していると、基本テンポが速いにもかかわらずセカセカとは全く感じられない。逆に第3楽章冒頭が相対的に遅く聞こえてしまうのは仕方ないか? なお、同楽章0分18秒の音の欠落はステレオ時代の録音だけに不可解である。テープ損傷ではなくイージーな編集ミスだったとしたら残念だが、とにかく超名演ゆえ実際以上に大きな傷と感じてしまうのはやむを得ない。また、第1楽章3分44秒と14分59秒のティンパニ挿入は改訂版由来と思われるが、そこだけ採用という演奏は初めて聴いた。やるなら徹底してやる、とは考えなかったのが指揮者の美的感覚なのかもしれないが、これもよく解らない。

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