交響曲第7番ホ長調
ヘスス・ロペス=コボス指揮シンシナティ交響楽団
89/01/22〜23
TELARC CD-80188

 第1楽章5分15秒過ぎから次第に大きくなるブラスに「喧しいわ!」とついつい怒鳴りたくなってしまうのは私だけではなかろう。6分34秒あるいは11分22秒以降も同様だ。残念ながらこの曲には「剛球一直線」(阿佐田達造)というスタイルは不向きのようである。VPO旧盤に完敗したショルティ&シカゴ響コンビと同様である。(当盤はコーダの騒がしさでは上回っているが、最後の1音がダメ押しでないから惨敗度ではショルティ新盤と互角であろう。)テラークの優秀録音がここでは完全に裏目に出ており、ブラスに限らず木管ソロまでも押しつけがましいと感じてしまう。(弦は十分美しいのだが。)ただし15分18秒からは思わず引き込まれてしまった。こうなると、もはや手遅れだがヴァントのように重点箇所に狙いを定めるという方針を採れば良かったかもしれない。律儀に全てを盛り上げようとしたのが敗因ということである。アダージョも終盤のクライマックス以外を盛り上げすぎているため全く買えない。(ピークへの登り詰め方はなかなかに見事だったが・・・・ついでながら、この蒸さ苦しさを吹き払うにはシンバルとトライアングルは不可欠だろう。)また、3分25秒以降いつまでもトランペットの持続音を吹かせているのはいかがなものか? 他にも静寂な(そうあって欲しいと私が思う)部分で何かザワザワした感じが残ってしまっている。ただし、イケイケ型演奏ゆえに後半楽章は悪くない。

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