交響曲第6番イ長調
ヘスス・ロペス=コボス指揮シンシナティ交響楽団
91/02/03〜04
TELARC CD-80264

 目次ページで引いた阿佐田達造による「近代兵器オンパレードのアメリカのオケ」の実力さえ発揮されていれば、当サイトにおいては(あくまで6番限定だが)ある程度の高評価は約束されたも同然である。第1楽章冒頭の主題提示など特に力を溜めずとも十分騒音になっているのは欧州オケと大違いである。(一応褒めてます。)ただし、こういうスタイルなら一枚も二枚も上手のショルティ盤が存在するだけに、当盤には「名演」の称号は与えられても「超」の頭に文字を付けるほどではないと思った。どのパートも均等に鳴っていると聞こえるのは指揮者のバランス感覚、テラークの録音技術のいずれか、あるいは両方が優れているためであるのは間違いないが、この曲の場合は必ずしも好印象に結びつくとは限らないのだ。(もしセルがレパートリーに加えていたとしたら途方もなく完成度の高い、しかしながら退屈極まりない演奏に仕上がっていたことだろう。)馬力には不足していないが、どこか統率され過ぎているように聞こえてしまうのはいただけない。まるで牙を抜かれたサーカスの虎のようである。少なくとも私には面白くない。むしろ特定楽器の協奏曲状態になっている方が嬉しくなる。第1楽章再現部のティンパニは結構いい線まで行っているが、あともう一歩が欲しかったところ。ラストのブラス炸裂もカミングアウトしてしまえば良かったのに。イケイケ型演奏ゆえ第2楽章が物足りないのは目を瞑ろう(耳を塞ごう)。後半楽章は全く問題なし。秀演である。

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