交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」
ヘスス・ロペス=コボス指揮シンシナティ交響楽団
90/02/10〜11
TELARC PHCT-5020

 以前インバル盤のページにて、初稿終楽章のリズム(5連符が頻発)に関する4番専門サイトの興味深い分析について紹介した。そこではエンディングにおける異演奏間の違いにも言及しているが、当ロペス=コボス盤は「リズム処理に問題が有る(5連符を譜面通りに演奏するのではなく、律儀に2+3で合わせてしまった)ために、せっかくのポリリズムが台無しになっています」と述べられていた。そこで最初に該当部分を集中して聴いたのであるが、私にはとにかく混沌状態としか聞こえなかったたため、結局のところ違いは全然解らなかったというのが正直なところである。(残念に思うべきなのか喜ぶべきなのかも判らない。)なので曲冒頭に戻って評執筆を進める。
 やる気のあまり感じられなかったインバルとは対照的に、当盤ではテンポや音量にメリハリを付けるなど、手を変え品を変えてつまらない曲を何とか盛り上げようとしているのがアリアリである。(例えば両盤の第1楽章中間部コラールを聴き比べるだけで十分すぎるほど明らかであろう。)まるで前座芸人のような涙ぐましいばかりの努力には、ついつい当方の胸も痛んでくるのであるが、それは指揮者とオケが一所懸命になればなるほど曲の不出来が露わになってしまうからに他ならない。もしかすると斜めから構えるようなインバルのアプローチくらいで丁度良いのかもしれない。そんなことすら考えてしまった。
 これではあんまりなので少しぐらいは褒めよう。第134楽章を先述したようにしっかり盛り上げて締め括っているのが偉い。また第2楽章が終わった後の間をちゃんと取っているため、ブルックナー史上最低楽章の唐突な立ち上がりに仰天しないで済むのは大いに助かる。(今頃気が付いたが、この楽章のクライマックスに至るまでのまどろっこしい進行は8番初稿にも引き継がれている。作曲者には悪いが、どっちも却下されて当然という気がする。)結局これぐらいしか思い付かないのも元が悪いせいに違いない(責任転嫁)。こうなるとギーレン盤が名演というのも素直には信じがたい。やはりここは・・・・(はよ再発してちょ。)

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