交響曲第6番イ長調
ラファエル・クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団
71/04/19
METEOR MCD-015〜16

 メチャメチャに熱い演奏である。(ただし私が持っているクーベリックの6番はこれだけなので「ライヴだから」と安易に決めつけることはできない。)第1楽章0分49秒での大爆発に仰天した。この荒々しさは朝比奈の94年盤を上回っている。ただし、暴れすぎの感なきにしもあらずで、7分55秒以降などは明らかにテンポが前のめり(34番の「鐘」以上)で少々興醒めである。遅い部分は陰影にも富んでおり、決してイケイケになっていないのは立派なのであるが。コーダ(14分17秒から)でもテンポを挙げて一気に突っ走る。本当にクーベリックが指揮しているのか疑いたくなるような激しさだ。第2楽章は一転して濃厚な演奏。叙情的な美しさに満ちている。スケルツォは堂々とした歩みの主部 vs のどかなトリオの描き分けが実に見事。終楽章はめまぐるしくテンポが変わるが、この曲の場合さほど不快に感じないというのは既に他指揮者のディスク評ページでも述べた通り。ここは第1楽章以上に力強い。この馬力、重量感はベルリン・フィルやシカゴ響にも負けていない。それどころか、1分33秒〜51秒などはスヴェトラーノフやロジェストヴェンスキーも顔負けの壮絶さである。コーダもやはり地響きのようだ。残響の多い録音のせいでもある。ということで音質だが、左右およびパートの分離がもう一つ良くない。ただし、クーベリックの海賊盤中ではライヴの雰囲気が最もよく捉えられているかもしれない。少しだがヒスも入っている。

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