交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
44/09/08
Music & Arts CD-249 → Archipel ARCD 0044に買い換え

 高踏的(?)スタイルによる55年スタジオ録音の11年前、しかも1944年という緊迫した状況下でのライヴだけに、あるいは非常に激しい演奏になっているのかと思って聴き始めたが、そういうところはあまり感じられなかった。3楽章の無気力ぶりもVPO盤と同様で、私の推測(指揮者が常々この曲をつまらないと思っていた云々)が裏付けられた結果となった。ただし当盤は低音域が乏しく、軽めの音質(重量感が不足)によって淡々とした印象になっているという可能性はある。ちなみに第1楽章12分19秒から高音域不足の音へと急に変わるが、明らかにテープを繋いでいる。テープヒスはなくなるが、同時に臨場感も消し飛んでしまっている。もっとも、この時代の音源をここまで聴きやすく編集してくれた製作者には感謝しなくてはいけないのだろう。第2楽章以降は第1楽章前半と同じ音質で一貫しているようである。変調ノイズが時に聞こえるので、どうやらエアチェック音源らしい。

2006年11月追記
 8番(DLCA-7011)同様、Dreamlifeから音質向上を謳ったディスクが新たにリリースされたので、この際ついでに買ってもいいかなと思っていたのだが、楽天フリマで検索したところ、時々利用するショップ(クラシックCDの販売数ではトップクラスではないか?)がArchipel盤(ARPCD0044)を630円というお値打ち価格(送料200円と振込手数料100円を加えても1000円でお釣りが来る)で売りに出していたので、そちらに注文を入れた。DLCA-7013のカップリング曲は1928年録音の「ティル・オイレンシュピーゲル」で、平林直哉が「クラシック名盤・裏名盤ガイド」で「レコード録音史上最大のデタラメ」として紹介していたため少々未練はあったけれども、結局は安さが勝利を収めたという訳だ。
 さて、入手したArchipel盤はS氏の連載「クナを聴く」でリファレンスに採用されているだけのことは確かにあった。このレーベル特有のメリハリを利かせたマスタリングによって、いわば「聞きやすい」音に仕上がっている。(ただし耳当たりがキツイとして敬遠する向きもあるだろう。)ベールを何重にも被ったような「音楽と芸術」盤とは別音源を使用しているのは明らか。当盤の方が圧倒的に音質が良い。テープ損傷によるドロップアウトや上述の繋いだ形跡も確認されなかった。どちらが鑑賞に向いているかも言わずもがなである。とはいえ、スケルツォが気合い十分の演奏と聞こえるのは、本文にある「無気力演奏」云々がエラく間抜なことを書いたことになってしまうから痛し痒しである。

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