交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」
オットー・クレンペラー指揮バイエルン放送交響楽団
66/04/01
EMI 7243 5 66866 2 5

 トータルタイム60分56秒(ケース裏には60:58とあるが)。各楽章のトラックタイムもフィルハーモニア盤ととほとんど変わらない。あるクラシック総合サイトのオーナーは、当盤のテンポについて「ライヴでなければ無味乾燥になりかねない」と書いていたが、「無味乾燥」か否かは録音状況(スタジオ or ライヴ)とは無関係だと思う。ということで、当盤のせわしない演奏も私には全く受け付けられなかったのだが、改めてじっくり聴くと63年盤とは微妙に異なっているように感じた。当然だが別オケなので響きと音色が違う。ティンパニのゴロゴロ音が耳に付くし、金管が旋律を吹くところはフレージングがハッキリしている。それだけでなく、リズムが完全には均等化されておらず、微妙ではあるが歌っているようにも聴こえる。63年盤より加減速が明快で勢いも感じられるのはやはりライヴゆえか。ということで、即興性が多分に感じられるこの演奏は、ヴァントと似ているとは全く思わなかった。何にせよ、ベートーヴェンでは既に60年代初めから堂々とした演奏を行っていたが(特に7番)、この頃までブルックナーでは快速スタイルだったということである。翌67年の5番から別人のような演奏になる。
 当盤の音質は悪くない。ARTマスタリングの長所であるメリハリが利いているため、第1楽章冒頭のブルックナー開始のザワザワ感や中間部の金管によるコラールの輝かしさが伝わってくるのが嬉しい。私は当盤を初めは大学生協に、続いて各種通販サイトに注文したが、ことごとく生産中止ということで入荷しなかった。結局は上記輸入盤をネットオークションで入手したのだが、廃盤にもかかわらず出品価格のまま無競争で落札できた。この演奏をベストに推すという書き込みも某掲示板にはあったのだが、どうやら一般的な人気を博するまでには至っていないようである。たぶん私もしばらくは聴かないだろう。が、次にクレンペラーの4番を聴く機会があるとすれば、フィルハーモニア盤ではなく当盤だろうと思う。

おまけ
 CupiD(音楽ソフトの検索サイト)で読むことができる当盤のコメントは、CDジャーナルに掲載されたものを再利用しているはずであるが、執筆したのは誰だろうか。

 驚きのライヴ。正規盤としてのリリースは初出,しかも
 ステレオというのが嬉しい。NPOとのスタジオ盤は悠
 揚たるテンポと壮大なスケールで有名だが,66年録音
 の当盤は全体にきびきびした音楽運びが特徴で実に新鮮
 だ。この指揮者の別の側面を見る思い。

「どこが」と指摘するまでもなく、あまりにも恥ずかしい間違いをしている。というより完全にプロ失格である。

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