交響曲第7番ホ長調
ヘルベルト・ケーゲル指揮ライプツィヒ放送交響楽団
61/05/09
ODE ODCL-1018(セット)

 3番78年盤ページ下に書いたように、このモノラル盤は会場ノイズが結構耳に付く。この頃はまだ当局の締め付けが厳しくなかったのだろうか? それはさておき、録音のせいもあって無駄のない引き締まった演奏に聞こえる。第1楽章冒頭のテンポは標準的で、20分を切るようには思われないのだが、4分17秒から別テンポを採用して速くなる。5分30秒の小ピークまで勢いよく突進し、その後も走り出す。ところが短調になるとテンポを落とし、8分02秒からは大きくうねる。私には速い部分がちょっと前のめりに聞こえてしまい苛ついてしまう。終盤の16分30秒からスローダウン。コーダはノロノロから少しずつ加速。こういうのはキライ。既に何度も書いているはずだが、こういう基本テンポ無視の「爆演」はこの曲には向かないと私は考えている。これで精度が低かったら最悪の評価になっていたところだ。
 第2楽章は非常に重苦しい雰囲気で始まる。金管が抑えられており、基本的には弦主体の厳かな響きが楽章を支配している。ただし、長調部分ではやや早足になるので、前楽章と同じくテンポユサユサのドラマティック演奏であるといえる。クライマックスに向かうところはノロノロになる。そして、17分41秒にシンバルのクラッシュ。それまで徹底的に重苦しくやったのだから、これがないと救いがない(ヴァントBPO盤ページ参照)。ところが、このシンバルの音はどうだろう。暗黒を吹き飛ばすような「ジャーーーーーン」という盛大な音ではなく、「ジャン」と短く鳴るだけなのだ。(奏者が響かないように止めてしまったのだろうか?)まるでギロチンが首を刎ねたようで非常に気味が悪い。最後に長調になってからも重々しい。確かにこの楽章は追悼音楽だが、葬送行進曲ではないはずだが・・・・
 第3楽章冒頭は一転してイケイケ。いや、何かに怒りをぶつけているようである。ここでも長調部分と短調部分のテンポに思い切ったコントラストを付けている。終楽章はそれまでから予想された通り、つまりここでも起伏の激しい演奏を行っている。最後まで手を抜かず、力のこもったエンディングで締め括っているのは評価できる。

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