交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」
ヘルベルト・ケーゲル指揮ライプツィヒ放送交響楽団
60/04/03
ODE ODCL-1014(セット)

 約17分というトラックタイムから予想されるように第1楽章は快速テンポによる演奏。1分46秒からの強烈な響きにまず驚かされる。まるで何かに追い立てられるかのようにセカセカした足取りで進み、中間部のコラールも特に重要箇所と認識していないのか粘らない。ところが、その後(10分過ぎ)から急に遅くなるのである。5番でもそうだったが、最後の鞭を入れる前に少し休息するかのよう、あるいは何かを回想しているようにも聴こえる。最後は再び快速になって終わる。この楽章は何にせよ「ロマンティック」という言葉からはほど遠い。
 第2楽章は前楽章とトラックタイムが20秒も違わない。16分44秒というのはただでさえ遅めだが、セカセカの後だけにものすごくノロく聴こえる。いつ春が来るかわからないほど長ーい冬のような音楽。太陽が昇らない高緯度地方の冬の1日(極夜)でもいい。モノラル録音の影響も当然あるだろうが、とにかく暗い。これに匹敵するのはディーリアスぐらいだろう。そのクセ長調部分はアッサリ流してしまうので救いがない。最後の1分余りも念を入れて重苦しく締め括ってくれる。
 スケルツォは微妙にテンポを揺らしながら進めており、単なるセカセカ音楽にはしていない。が、私にはちょっと粗っぽく聞こえた。終楽章は華やかな冒頭部分が終わった途端に重苦しくなる。その後すぐセカセカに戻るので、「ちょっと分裂気味やないか」と思っていたら、3分55秒からはグイグイ加速までする始末。「おいおい、何をするんや」と言いたくなった。この楽章はそんなことの繰り返しに終始する。ヨッフムや宇野ばりのケレン味タップリ演奏である。面白いには面白いが、こうなるとモノラルなのが痛い。ユニゾンが音の塊になってしまうのは大いに物足りない。それまでは何とか我慢できていたのだが。
 ということで、やはり私はステレオ録音で音に広がりのある71年盤を採る。遅めのハイティンク盤から入ったせいもあるが。ただし、ネット掲示板では勢いの感じられる当盤を推す声の方がやや多いようにも思われる。

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