交響曲第7番ホ長調
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
89/04
Deutsche Grammophon POCG-50013

 当盤はカラヤンの「ラスト・レコーディング」(死の3カ月前に録音)であるが、バーンスタインの最後の演奏会のライヴ盤(ベートーヴェンの第7他)ほどヨレヨレ(というより、あれはボロボロ)ではないし、指揮者に対して痛々しさも感じない。75年盤のページでは当盤を「ヨレヨレ」と評したが、それは「以前の録音と比較すれば」という相対的な評価であり、その形容が本当にピッタリなのは8番の方である。私が不満を抱くのはむしろオーケストラの音の汚さに対してである。
 私はカラヤン晩年のウィーン・フィルとの演奏がちっとも良いとは思えず、購入したディスクはことごとく手放してしまった。「悲愴」「新世界」、モーツァルトのレクイエム。(もちろんブルックナーは当サイト作成のため残しているが・・・・)その最大の原因が「音の汚さ」である。黄金コンビ(ミシェル・グロッツ&ギュンター・ヘルマンス)の技量を以てしても、こればっかりは如何ともしがたかったのだろう。金管と打楽器が突出しており、木管の音は安っぽい。フルトヴェングラーのベートーヴェンなどで聴かれたあの充実した響きはどこへ行ってしまったのか? アダージョのクライマックスはただ騒がしいだけで、それまでの厳粛さがぶち壊しである。許光俊は「クラシックを聴け!」でカラヤンについて「晩年はろくでもない演奏ばかりしていた」などと書いていたが、ベルリン・フィルと録音したブラームスの交響曲全集(86〜87年)では全くそのようなことはなく、90歳まで現役を続けられそうな完成度の高さを誇っている。ザビーネ・マイヤーの入団問題でカラヤンとBPOとの関係が冷え切ってしまったことが返す返すも残念でならない。789番は何としてでもBPOと再録音してほしかった!

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