交響曲第8番ハ短調
オイゲン・ヨッフム指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
84/09/26
Tahra TAH 171〜174

 ヨッフムは9番と並んで8番との相性が悪く、BPO盤やSKD盤を聴いても大根役者という印象(ひどい)しか持てなかったのだが、当盤を初めて聴いた時には「良くなってきたじゃないか」と思った。激しいことは激しいけれども、やはりACO&コンセルトヘボウという最強コンビの尽力もあってか、さほど不自然さは感じられない。例えば第1楽章7分過ぎから少々せせこましくなるのは従来と同じだが、7分46秒からの堂々とした進行は76年SKD盤とは全く違う。同楽章終盤のカタストロフのトランペットも大違いである。SKD盤では耳を覆いたくなるほどであった品のなさが影を潜めている。
 後半2楽章のタイム差についてはBPO盤ページで触れたが、BPO盤(64年)の7分14秒→SKD盤(78年)の6分38秒→6分03秒(トラック4のうち拍手が20秒)と着実に縮小し、バランスも良くなっている。エンディングの「ミレド」もなだれ込むようではなく、少しは落ち着きが感じられるようになってきた。ここに至ってようやく、「まともな」8番演奏を聴かせてくれるようになったと私は思った。終楽章冒頭(0分23秒)のティンパニをややテンポを落として叩かせている所など、まだ一部にケレンも感じられるけれども。もし最晩年(86年以降)にACOと演奏&録音されていたとしたら、きっと5番や7番のような超名盤となっていたに違いない。などと、ないものねだりをしてこのページを終わることにする。
 ・・・・・と、ここまで書いてきて気が付いたのだが、当盤の特徴として挙げたヨッフムの「落ち着き」に関しては、2年前のバンベルク響盤の方がやや上回っているように思う。反面、「バランス」の例としてあげた後半2楽章のタイム差(約5分45秒)は当盤よりもやや短い。ようわからん。

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