交響曲第7番ホ長調
オイゲン・ヨッフム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
74/06/09
The Bells of Saint Florian AB-2

 私はYahoo!オークションの有料化移行後はプレミアム会員資格を基本的に停止している。どうしても欲しい品が出品されているのを見つけた場合のみ資格を復活させている。それだと、ついつい必要もない物を買ってしまうという事態が避けられるからである。(なお、既によく知られていることだと思うが、会員資格を継続する場合は、隔月末日に一度停止し、翌日復活させれば会費=税込294円は2カ月に1度払うだけで済む。)
 2004年6月に漫画「じゃりん子チエ」全68巻(プラス別冊)がお値打ち価格で出ていたので、38巻までしか持っていなかった私は入札に踏み切った。(ダブった分はBOOKOFFに持って行くつもりだった。)が、敢えなく逆転負け。当盤はその際ついでに入札→落札したものである。出品価格は500円だったが、どうしても欲しい品でもないのについちょっかいを出してしまった。まさか510円で落ちるとは。しかし、実際聴いてみるとその程度の値打ちしか感じられない品ではある。まず何といっても音が悪い。どの再生装置でも音がこもっていて聴きづらい。また、金管が本来鳴っているはずの所でほとんど聞こえないということも少なくない。第1楽章の「フライング・ホルン」直後、第1主題が全奏で鳴るところは非常に感動的で、大いに期待を抱かせるだけに残念である。"The Bells of Saint Florian"、いわゆる「鐘」はブルックナー専門の海賊盤レーベルであるが、「紫」「緑」の一部の品ほど高騰するようなことはないものの、正規盤よりも高い評価を受けているものは決して少なくない。ところが、最初期に発売された当盤はネット上でもほとんど話題に上ることがない。DG盤やEMI盤を所有している人はそれで十分だろうと思う。劇的な演奏スタイルという点ではさほど違いはないからである。(同じ「鐘」でもACO86年盤とは事情は全く違う。)
 演奏自体についてコメントすると、ここでのヨッフムはBPOやSKDあるいはACOとの演奏よりも思い切った解釈をしているように聞こえる。だから、海賊盤業者(A社、C社)のサイトに出ていた「ウィーンフィルとの共演はそれほど多くないばかりか、成果もなかなか挙げづらかったようだ。当盤も巨匠がてこずっている場面や勝手にウィーンフィル調になっているところもある興味深い演奏。」という紹介文の後半部には同意できない。確かにBPO等と比べれば客演の機会が少なかったとは思うが、ここでは「ヨッフム節」をVPOに強要しようとしている。例えば第1楽章の雷雨の直前の減速やコーダの加速は、私が所有するヨッフムの7番では最も顕著である。私には「じゃじゃ馬」がヨッフムで、それに手こずっていた騎手はオケの方ではないかと思えて仕方がない。これでは成果が上がらなかったのも無理はないという気もする。

7番のページ   ヨッフムのページ