交響曲第7番イ長調
オイゲン・ヨッフム指揮シュターツカペレ・ドレスデン
78/06/09〜13
EMI 5-73905-2(全集)
「その他(雑文)」ページの「『ブルックナー指揮者』について考える」でも触れるつもりだが、ヨッフムのような「暴れ系」指揮者による「作為的」で「異色」の演奏スタイルは、5番や8番には合っているが、「自然体」が求められる479番には向かないはずである。ところが予想に反して8番は大したことがなく、4番や7番は意外と聴ける。(テンポ揺さぶりに最も脆弱な9番がダメなのは予想通りだが・・・・)かといって、この7番の演奏が「自然体」なのかといえば決してそうではない。第1楽章冒頭のテンポは遅く、そのまま進行すればトラックタイムは20分を大きく上回るはずだが、実際にはほぼ21分で演奏時間としては標準的である。所々で早足になっているからである。特にコーダのテンポを上げるのが私は大嫌いなのだが、そこも許容範囲ギリギリで何とか収まっている。(ジュリーニはアウト!) よくは解らないのだが、明るめの音色が幸いしてフットワークの良い演奏と肯定的に捉えることも可能になっているのだろうか。(BPOの重々しい音でこんな風だったらボロクソに書いていたかもしれない。)第2楽章は25分台と非常にゆっくりしているので1楽章とのバランスはあまり良くない。また、クライマックスではシンバルだけが耳に付き、初めはほとんど聞こえなかったティンパニは、徐々に音量を上げることによって波のうねりのようなドラマティックな効果を出している。これも作為的で本来なら「アウト」のはずだが、やはり軽快さを感じさせる音色のせいで救われているように思う。(逆に34楽章は軽すぎるという気がしないでもない。)とにかく、やっていることは不自然極まりないのに、そう感じさせないのがこの指揮者の不思議なところである。
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