交響曲第7番ホ長調
オイゲン・ヨッフム指揮フランス国立管弦楽団
80/02/06
PECO SSCD-002

 同オケとの5番ページでも触れたが、響きの重心がBPOやACOあるいはSKDなどとの演奏と比べると若干上にあるような感じで、音色の明るさが当盤の最大の持ち味である。それがこの曲でもプラスに作用していると思う。第1楽章4分52秒〜5分36秒までの行進曲調の部分の軽快さには思わず気分がウキウキしてしまった。(ヴァントのNDR盤と少し似ている。もっともヴァントはインテンポでグイグイやるので威圧感を覚えるが・・・・)所々に登場する木管ソロの美しさにも魅了される。同楽章コーダ19秒50秒過ぎからはお決まりの早足だが、ここでも軽めの響きのお陰で「辛うじて許せる」レベルで踏みとどまっている。
 ヨッフムの7番演奏に共通して認められる傾向であるが、当盤では第2楽章のトラックタイムが第1楽章のそれの約2割増しとなっており、楽章間のバランスという点ではもう一つである。けれども、明るい音色のお陰でアダージョの足取りは決して重々しくならない。3分42秒〜4分24秒では金管を抑えて弦主体にしているが、そのオルガンのように溶け合った響きの美しさは筆舌に尽くしがたい。そこに限らず弦の美しさにはつくづく唸らされた。ということで、本来ならヨッフムの7番中で最も高く評価したいところなのだが、クライマックスの騒々しさがそれまでの美しさを見事なまでにぶち壊しているので、残念ながら86年ACO盤の次にした。(当盤に限っては打楽器なしの方が良かったのではないだろうか?)
 ただし、明るい音色と軽い響きはテンポの速い34楽章との相性が抜群であり、後半だけを取れば文句なしにトップである。スケルツォに入って暫くして「アレッ」と思った。1分42秒から少しテンポを落としてネットリと演奏するのである。(鈴木淳史はこの曲について、「クラシックCD名盤バトル」に「前半二楽章をミッチリネットリ演奏し、後半は『これは阿呆な作曲者が、ついつい書いてしまったゴミ楽章です』といわんばかりに無節操に演奏したものが多い」と書いていたが、当盤でのヨッフムは後半も気合いを込めて指揮しているので、鈴木の推奨したロスバウト盤とは全くスタイルは異なっていても、「全体的に同じトーンで演奏されたもの」として彼の耳にも適うと思う。)慌てて他のディスクを取り出して聴き比べたところ、ACO86年盤で同じ解釈が聴かれた。同じライヴでもACO70年盤やVPO盤での減速は控え目で、スタジオ録音のBPO盤とSKD盤ではほとんどテンポを変えていない。やっぱりこの人は「即興の人」なのだと思った。終楽章はトラックタイムこそ13分台であるが、実際には終演後の拍手(約50秒)が含まれており、テンポ設定もバランスも悪くない。最後は大見得を切って終わるが、指揮者がそうしたくなった気持ちもよく理解できるほどの熱演である。5番とは異なり、ここでは聴衆はひたすら賞賛の嵐である。こうでなければ!

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