交響曲第6番イ長調
オイゲン・ヨッフム指揮バイエルン放送交響楽団
66/07/03
Deutsche Grammophon 469 810-2(全集)

 SKD盤(78年)とACO盤(80年)の間にはわずか2年の隔たりしかないのに、後者の方が随分と落ち着いた演奏に聞こえる。ところが当BRSO盤(67年)はSKD盤の11年も前の演奏にもかかわらず、両演奏の間でトラックタイムに目立った差はないし、解釈の違いもほとんど聞き取れない。ただし、けばけばしい音色で、特に金切り声のような金管がうるさく感じられたSKDと比べると、BRSOは明るい音色という点では共通しているものの少々落ち着いているように聞こえる。実際にも第1楽章13分54秒〜終わりまではSKD盤のようなイケイケではなく実に堂々としており、大家のような余裕すら感じさせる。終楽章9分34秒以降も同様だし、捜せば他にもあるだろう。この辺りがヨッフムの旧全集中で、そして数ある6番録音中で当盤が以前から高く評価されてきた理由かもしれない。カラヤンやカイルベルトに代表される筋肉質というか凝縮型の演奏で、しかも重々しい音ではないというディスクは意外と少ないものである。地味な曲だけにやはり渋い音色では冴えないし、かといって騒々しいのは勘弁して欲しいという向きにはお誂えのような演奏ではないだろうか。私もSKD盤ページでは「地味な曲だけに派手派手な演奏は大歓迎」と書いたけれども、聴き比べてみるとやはり当盤の落ち着いた音色の方が好ましい。特に第2楽章は。とはいえ、SKD盤も十分立派な演奏であるから、新全集を既に所有しているなら買い足す必要はないと思う。ということで、何が何でも持っていなければならないというほどではないけれども、単発としてはおそらく初となる廉価国内盤がリリースされたばかりであることだし、これといった6番の演奏を聴いたことがないという方なら入手しても損はないだろう。

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