交響曲第5番変ロ長調
オイゲン・ヨッフム指揮シュターツカペレ・ドレスデン
80/02/25〜03/03
EMI 5-73905-2(全集)

 4番と同様、この曲も「クラシック名盤&裏名盤ガイド」にて吉田真が「見事な演奏を聴かせる」と高く評価している。ただし、以下の断り書きを付けている。私も全く同感だ。

 あくまで異色の演奏であることは強調しておきたい。というのは、
 ヨッフムのブルックナーは標準的な解釈であるかのような扱いを
 されることに大いに疑問があるからだ。(中略)大胆なテンポの
 変化と頻出するアッチェレランドなど、フルトヴェングラーばり
 の劇的な解釈である。

 ヴァント&BPO盤のページに書いたが、テンポ急変にも比較的強いこの曲や4番は、やはりヨッフムの芸風とも相性がいいようだ。さらに、この全集を通していえることだが、明るい、というよりけばけばしい音色(ロジェストヴェンスキーの各種録音といい勝負)が劇的な表現と見事にマッチしている。あるいは両者の相乗効果によって劇性が高められていると言うべきかもしれない。ACOとの64年ライヴ録音よりもドラマティックな演奏に聞こえるのも、この音質が影響していることは間違いない。

5番のページ   ヨッフムのページ