交響曲第3番ニ短調「ワーグナー」
オイゲン・ヨッフム指揮シュターツカペレ・ドレスデン
77/01/22〜27
EMI 5-73905-2(全集)

 ヨッフムのブルックナーとして最初に買ったシュターツカペレ・ドレスデンの8&9番(ダブル・フォルテ・シリーズ)はちっとも気に入らなかったので、その後手を出す気がしなかった。が、通販サイトでドレスデンとの新全集が三千円台で売っているという情報を例の掲示板サイトで知り、少し心が動いた。五千円台のスクロヴァチェフスキの全集でも十分安いと思っていたのだから。(当時はまだ輸入盤を通販で買うということには関心がなかった。)「artマスタリングで音質向上」という宣伝文句も購買欲をそそった。しかし、迷った挙げ句に「どうせ大したことない演奏だから安いのだろう」と思って結局注文しなかった。
 そんな2001年の10月のある日、HMVがボックスセットを全て半額にするという驚くべき投稿を見た。が、業者の予想をはるかに上回る注文が殺到したため、このセールは数日のうちに終了してしまった。(そして購買者の不興を買った。)私もそのセールでは結局何も買えなかった。(辛うじてブリュッヘンのベートーヴェン交響曲全集は注文できたが、生産中止ということで入荷しなかった。)そして、ヨッフム全集も買わないままに月日が流れていったのであるが、またしてもその掲示板から「ヨッフムのブル全が1000円以下で売られている」という情報を入手したので早速訪問したら、本当にその値段で売っていた。おそらくは値段の付け間違いだったのだろうが(後日修正)、私はどさくさ紛れ(ちゅーより火事場ドロボー?)という形で税込1011円という破格値で入手することができたのである。(その後通販地獄にまっしぐらに向かっていく。)
 さて、8番と9番についてはそれぞれのページにも書くが、やはり気に入らなかった。しかし、3〜7番については「意外と聴ける」という印象を持った。この3番だが、「レコード芸術」編の「名曲名盤300」(93年発行)では1位のベーム盤と1点差で2位に食い込んでいる。(この時は発売点数も少なく、ノミネートされたのもわずかに6種類だったが・・・・・)ヨッフムお得意のテンポ揺さぶり攻撃のため、かなり激しい演奏という印象を受けるが、アンサンブルの乱れはない。録音(高音の強調された音質)も影響してか時に騒々しいと感じさせる所があって私は好まないけれども、高い評価を受けたことは納得できる。ただし、ヴァント&NDR盤のページで書いた第1楽章のピーク処理が、セルやスクロヴァチェフスキと同じく私の好まないやり方(11分過ぎからテンポを上げ、11分20秒〜の主題が冒頭の提示部と同じテンポ)を採用しているのは大いに不満だ。また、同楽章コーダ直前(19分40秒〜20分丁度ぐらい)の急加速も尻軽な感じでいただけない。ところが、中間楽章は一転してジックリと腰を落ち着けた演奏である。訳が解らない。終楽章もコーダ直前で足を速めるのかと思っていたら、そのかなり前の9分17秒でガラッとテンポを変え、以降はインテンポで押していく。やられた。コーダでは例のトランペットによる主題が長調で再現するが、ここでもヨッフムは1楽章冒頭と同じテンポで進めているためアッサリと終わってしまう。まだこの頃の彼は、ここぞという時にテンポを落としてジックリ聴かせるということにはあまり興味がないように思える。

3番のページ   ヨッフムのページ