交響曲第7番ホ長調
エリアフ・インバル指揮フランクフルト放送交響楽団
85/09
apex 0927-40817-2

 NHK-FM日曜午後の「海外クラシックコンサート」で、(たぶん)このコンビによる7番演奏を聴いた。解説は(たぶん)ネコケンさんだった。2楽章のクライマックスでシンバルが鳴らなかったので、「ああっ、これがハース版かぁ」と思ったことはよく憶えている。私はヴァント盤を聴くまで7番のハース版がどういうものか知らなかったので、つまりは勘違いしたのである。また、クライマックスでティンパニは鳴ったけれども、連打ではなく一発だけだったと記憶していた。だから当盤のロール打ちを聴いて「アレッ、こんなんだったかなぁ?」と首を傾げた。3番ページでもぼやいているが、いい加減な記憶で全く面目ない。余談であるが、最近は金子建志があの番組に滅多に登場しなくなったので大変寂しい。いろんな指揮者による異演奏の比較試聴と解説は非常に興味深いものだったのだが・・・・
 この演奏は至極まっとうである。若干薄味な感じもするが演奏は決して悪くない。ここで録音年月日を改めて眺めてみると、3489番が82年の8〜9月に慌ただしくレコーディングされた後、丸3年を置いて録音されたのが当盤なのだ。インバルはとにかく先を越されまいとして世界初録音の4種を済ませたが、めでたく一番乗りを果たしてからはジックリ腰を落ち着けて残りの曲に取り組む気になったということだろうか? 5〜7番については後になるものほど完成度は高いように思う。(初期交響曲についても、その良さがイマイチ解っていない私がコメントするのもまあ何だが、結構いい演奏だと思っているのは既に述べた通りである。)
 先に「薄味」と書いたが、「腰が軽い」と言い換えてもいいかもしれない。この曲ではそれが欠点にならない。オーケストラの音色が上手くはまっているため、非常に見通しのいい演奏となっている。指揮者がテンポの無茶ないじり方をしていないのもポイントが高い。1楽章より4分以上長いアダージョも音が重くないので、時間差ほどはノロく感じない。終楽章だけは「腰が軽い」を通り越して「尻軽」と聞こえなくもないが、もともと大して思い入れのない楽章なのでさして気には障らなかった。

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