交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」
ハインリッヒ・ホルライザー指揮バンベルク交響楽団
61?
Concerto Royale 206218-360

 ホルライザーという指揮者のことは全く知らない。(関西弁で「ほる」が「捨てる」の意味なので、ちょっと語呂が良くないなあと思っただけである。ついでながら、「ホルモン焼」の呼び名は内臓が「放るもん」=「捨てるもの」であることに由来するという説、私は長年信じ込んでしまっていたが、どうやらガセらしい。ウソつき!)そこで検索したら「隠れ巨匠」という記述が見つかった。要は「名匠」(地味ながら実力はある指揮者)の1人なのだろう。しばしは「いぶし銀」「渋い」という形容が用いられるバンベルク交響楽団の主席指揮者のポストに就いていたらしいが、まさに適材適所といったところか。(他にバンベルク響の歴代常任を見ると、カイルベルト、ケンペ、クラウス、ヨッフム、シュタインで確かに玄人好みしそうな指揮者の他、ロッホランやメッツマッハーという見たことも聞いたこともない名前まで並んでいた。そういえばシュタインがこのオケと来日した際、FM誌のインタビュアーは「その渋さが日本のファンに受けている」と紹介していた。指揮者は「渋いオケとは思わない。現代曲にも積極的にトライしている。」と否定していたが。ここで思い出したが、私はその記事を読むまで「ハンブルク響」と誤解していたのであった。酷い。)
 さて、実際に聴いてみると渋いどころか明るい音色のお陰もあって結構派手に聞こえる。第1楽章はテンポが速いだけでなく躍動感タップリである。弾むようなブルックナー・リズムを聴いていると楽しくなる。中間部コラールの清楚な表現も素晴らしい。第2楽章も単独では悪くない。ただし、トラックタイムが前楽章と40秒しか違わないため相対的に遅いということになるが、にもかかわらずカラッとした音色のため足取り軽く聞こえてしまうのがマイナスである。楽想と合ってない。(酸性雨による葉の喪失が著しいヨーロッパの森林を歩けばこんな感じか?)スケルツォは第1楽章同様に弾力演奏に徹して成功を収めているはずと予想した。それは当たっていたが、冒頭からしばらく盛り上がった後のホルン(0分24秒と28秒)が控え目だったため見事な肩すかしを喰らった(再現部も同じ)。これも「渋い」オケの特徴なのだろうか? 終楽章は響きとテンポのバランスに問題はなく掛け値なしに名演となっている。(ここは第2楽章とは異なり必ずしも陰影が感じられなくとも良いと私は考える。)とにかく前に出ようという積極性が良い(←大相撲解説者か?)
 こういう快速演奏から4番に入った人にとっては当盤をベスト演奏と評価することも可能かもしれない。少なくとも同タイプのクレンペラー(2種)やフェドセーエフ、コンヴィチュニー、マズアなどと比較すれば圧倒的に優れた出来であることは確かだ。ついでながら「チェリ&スウェーデン放送響のCDを取り出して聴き比べてみました。しかし結果はホルライザーの圧勝ですよ。チェリ・ファンには申し訳ないですけど。」というコメントをネット上で見かけたが、それも当然であろう。あれはチェリの本領発揮とは到底言いがたい演奏だから。

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