交響曲第8番ハ短調
ニコラウス・アーノンクール指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
00/04
Teldec 8573-81037-2

 ヤフオクにて1500円で落札。(同時期にブーレーズ盤も同じ価格で落札したが、あるいは同じ出品者だったかもしれない。)「2枚組でこの値段、いい買い物をした」と喜んだのも束の間、後の関東出張時に渋谷HMVにて同じ位で売られているのを見て地団駄を踏んだ。(結局、諸経費の分だけ損した。)
 RCOやVPOとの共演では良くも悪くも「らしさ」が出ていたが、当盤のアーノンクールは真っ当そのもの、まるで借りてきた猫のようである。BPOがインターナショナル化したせいなのか、はたまた指揮者の陽動作戦にオケが全く乗らなかったためなのかは判らないが・・・・そういえば曲は違うが、某掲示板でこんな書き込みを見た。

 以前、安永徹がインタビューで、アーノンクールと共演した時のことを、
 「指揮者のやる音楽があまり高い次元のものでないと、ベルリンフィルは
 自分達の音楽をやり始めます」
 といくぶん批判的に彼のことを語っていたことがあった。

 今回ブラ1のCDを漏れも買って聴いてみて、なるほどど感じた。
 流れてくるのはとても素晴らしい音楽だが、実にオーソドックスで、
 「一体これのどこがアーノンクールなのか?」と思わせる。
 わずかにフィナーレの追い込みで金管をバリバリ鳴らしているあたりに、
 彼の片鱗が見える程度。

 アーノンクール自身はこんな演奏に満足しているんだろうか?

ということで、私以外にも「らしくない演奏」と思っている人がいるようである。第1楽章中間部(9分台)の2度の加速にしても数え切れぬほどの先例があるし、スケルツォも真新しいところはまるでない。さすがにアダージョでは「自己主張したくてたまらない」という禁断症状が出たのか、11分20秒から独特のフレージングを誇示している。つまり、「プラハ」でも聞かれたのと同じく通常は伸ばすところを刻み、その逆もやるという「天の邪鬼」なのだが、要は人の逆を行くだけのことだから別に自分の頭で考えなくともできてしまうことなのだ。こんなのは評価に値しない(暴言)。終楽章冒頭の「ダダンダダンダダン」も予想していた通りで、迫力ではマゼール盤の方がはるかに上である。トータル82分台で堂々としたテンポを採用していることもあり、勘違い気味のバレンボイム盤よりはマシだが、既にカラヤンやヴァントが優れた演奏を輩出しているのに、BPOによるブル8を聴くために当盤をわざわざ棚から取り出す気にはならないであろう。このコンビによるブルックナー録音が1曲だけで終わったのはお互いにとって幸いであったと思う(暴言その2)。

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