交響曲第6番イ長調
コリン・デイヴィス指揮ロンドン交響楽団
02/02/19〜20
LSO Live LSO0022

 トータル約62分は6番としては遅い部類に入る。(「不動の1位」盤よりも長い。)第1楽章は序奏こそジックリ腰を落ち着けて歩むものの、主題提示はおとなしい感じで拍子抜けしてしまった。シベリウスが全てそうだったが、ここでもデイヴィスはバランス感覚を最優先する方針で臨んだようである。ブルックナーでも他の曲ならそれでも何とかなったのかもしれないが、6番をそういう安全運転スタイルでやられると私にはちょっと辛い。遅いテンポを採るなら少々羽目を外すぐらいでないと退屈してしまう。ショルティやチェリがティンパニの壮絶な打撃によって楔を打ち込んだように。さらに1分48秒からのスタスタで気分がさらに萎えてしまった。再現部もコーダもサッパリ盛り上がらないまま楽章は終わってしまう。14分台に入ってからの脱力したかのような減速、および以降のスロー進行は悪くない。もっとも、唐突ともいえるような無気力スタイルへの変わり身だけに行き当たりばったりと感じられなくもない。少なくとも楽章単位で貫いてもらいたかった。先に書いておくと第34楽章も五十歩百歩である。というより、スケルツォは何のケレンもなく遅いだけなので眠たくなってくるし、フィナーレは極端なノロノロとセカセカの繰り返しがもはや対比を通り越して崩壊を招いており、第1楽章よりもさらに出来が悪い。聴いていると腹が立ってくるほどだ。
 ただし、20分を要する第2楽章だけはスローテンポがノッペリスタイルと上手くはまっており結構聞ける。いや、ショルティ盤に匹敵するほどの最強演奏といえるかもしれない。(ここも失敗だったら躊躇なくダメ指揮者の烙印を押すところだったが何とか免れた。)逆に他は良くともアダージョだけ弛緩して、あるいはスタスタテンポに起因する感興不足のせいでイマイチというディスクもこれまで数多く聴いてきた。思うに、この曲の4つの楽章を全て高水準に仕上げるというのは至難の業なのかもしれない。当盤に戻ると、何せ値段が値段だったから「ま、しゃーないか」で済むことが救いといえば救いである。
 などと貶しまくってきたが、もしかすると録音こそが印象サッパリの最大の原因ではないか。そんな気もしないではない。とにかく音質は鮮明さに欠けているし、ライヴのはずなのになぜか臨場感が全然伝わってこないのだから。

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