交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」
リッカルド・シャイー指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
88/12/19〜29
DECCA 425 613-2

 コンセルトヘボウ管による美しい響きで4番を聴いてみたくて仕方がなかった頃、狙いを定めていたのが当盤である。(ハイティンクの旧録音は全集でしか入手できなかった。)「名曲名盤300」の93年版で諸石幸生、98年版で平野昭が推しており、それなりに優れた演奏なんだと思っていたことも理由である。ところが、ヨッフム&ACOによる4678番のTahra4枚組を思いがけず安価で入手したため、当シャイー盤を購入する必要がなくなり、いつしか脳裏からも消え去ってしまったのだが、後に新宿「組合」で激安中古を見つけた時に手を伸ばしたのは目次ページにも記した。
 当初並行してディスク評執筆を行う予定だったドホナーニは、シャイー同様に「無味無臭」とか「アクがない」などと時に言われるけれども、よく聴いていると結構ヘンなこともやっているのが解る。ところが当盤の演奏は正攻法そのものである。こういう際立った特徴のない演奏は、スウィトナー盤などと一緒で評が書きにくくて本当に困る。(諸石や平野もさぞかし苦労したことだろう。)気が付いたことを少し挙げておくと、第2楽章終盤の盛り上げ方はかなり入念なのに肝心のクライマックスはいまいちパワー不足で、あたかも不出来な第1稿のそれのようであった。そういえば、ハイティンクやヨッフムの録音よりはティンパニのゴロゴロという打撃音が耳に付き、全体の響きも軽く明るいような気がする。(派手な音づくりはDECCAの特徴だが、ベルリン放送響との7番はそれほどでもないので録音機材やマイクの特性だけが原因ではなさそうだ。)終楽章ラストは対旋律が出しゃばらないノヴァーク版の典型で、第1楽章第1主題(ソードードソー)の回帰がハイティンク盤以上にハッキリと聴き取れる。まあ、演奏に傷は全くないしテンポ設定も中庸かつ妥当なので、これ以上あれこれ考えるのは止めにして音楽に浸っているに限る。(と逃げを打って終わる。)

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