交響曲第7番ホ長調
セルジュ・チェリビダッケ指揮ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
89/09/22
AUDIOR AUD-7009〜10

 ある通販サイトによると、チェリがミュンヘン・フィルを引き連れてベルリン・フィルハーモニーに乗り込んだ際(ベルリン芸術週間)のライヴ録音らしい。カラヤンの死後わずか2カ月あまりという時期に凱旋公演(?)をやってしまうあたりがいかにも彼らしい。音質は私が所有するチェリのAUDIOR盤の中では良くない部類に属する。ただし曲の性質(劇性は要らない)ゆえに救われている。平板な録音でも静謐さを湛えていると肯定的に受け止めることができるからだ。(5番や8番だったら大いに不満を訴えただろうが。)少なくともBPO盤のように退屈するということはなかった。あの長大なアダージョでも特定部分を際立って遅くするというようにメリハリを付けている。どこも同じようにノロかったら堪らないが・・・・(ただし、ディスクを鑑賞する側にとってはその方がありがたいのはもちろんだが、演奏としては本道から外れているかもしれない。)
 ネット評は賛否両論である。ただし、併録曲に対しては絶賛する声の方が圧倒的に大きい。あの「展覧会の絵」を聴くためだけでも当盤を入手する価値はあると思う。NHKで何度か見聞きした日本での演奏よりもはるかに凄い。特に「キエフの大門」での最後の気力を振り絞ったような掛け声は感動的である。この「でいっ」を叫びたかったために彼は40分以上も指揮をしてきたんだ、と思わせるほどである。(「チェリ掛け声ベストテン」をやったら文句なしの1位やな。)某掲示板への「イントロ40分のカラオケ」という投稿には思わず笑ってしまった。
 ところで、7番EMI正規盤は94年の別音源らしいが、激安中古を見つけない限り購入する気はない。1枚に収まるものをわざわざ「テ・デウム」とカップリングすることによって、無理矢理2枚組にしているからである。「テ・デウム」を付けるなとは言わん。が、どうしても付けて2枚組にしたいのなら、せめて別々のディスクに収録して1枚分価格で発売すべきであろう(朝比奈&東響の9番91年盤のように)。7番2枚組と9番2枚組で2度儲けようという魂胆は、(樽酒が半分になったところで水を足す居酒屋と全く同じ)「水増し商法」もいいところである。こんなボッタクリを考え出したのは誰なのか? チェリの息子だとしたら情けないにも程がある。業者の体質なら(決して許せないものの)まだしも理解できるが・・・・

2004年8月追記
 Yahoo! オークションでEMI正規輸入盤が出品されていた。スタート価格が安かった(1200円)のと、ケース裏の画像にはバイエルン放送の音源であることを示す「BR」マークがあったので入札に踏み切った。が、あえなく敗退。(音質が比較的良好とされる「BR」入りは、ブルックナーでは結局347番だけのようだ。)とはいえ、その94年9月の演奏に対するネット評はあまり芳しいものではないのでそれで良かったのかもしれない(←ちょっと負け惜しみ)。7番専門サイトでの評価は低いし、別の7番の聴き比べページでは「緊張感が希薄」「音と音の繋がりがスカスカ」「ヨレが所々散見」などの言葉を交えて指揮者の衰えに言及している。他に「バランスのひどさ」「奥行きのないペラペラな音」等を理由に「ブルックナーの美味しいところが全然聴こえてこない」と酷評しているページもあった。もしかすると「BR」も当てにならないかもしれない。一方、名演の声が高い85年の別演奏は、AUDIOR(AUDM-2503/4)にせよMETEOR(MCD-039/040)にせよ、たまに出品されているのを見かけるけれども、最後にはとても手の届かない価格まで高騰してしまうので入手はほとんど諦めている。

2004年9月追記その1
 Yahoo! オークションで上記「紫」が出品されたが、やはり3000円強でも落とせなかった。ライバルの評価欄(過去の落札履歴)を見たら、高額落札も意に介さない相手と判ったので、これでは競り合っても無駄だろう(とてつもない高価格が自動入札で設定されているに違いない)と思って潔く引き下がった。しかし、そこからが潔くない。直後にEMI正規輸入盤(新品未開封)の出品をたまたま(運悪く?)見つけたので、腹癒せにという訳でもないが、「どうせ高値更新されるだろう」と思いつつ入札したら、何とそのまま終了してしまった。上であれだけ糞味噌に叩いていたディスクを入手する羽目になろうとは! これでまた今月の宿題(評を書かねばならないディスクの数)が増えてしまった。まさに「泣き面に蜂」である。

2004年9月追記その2
 当盤2枚組がYahoo! オークションにて4100円で落札されたのには驚いた。この頃よく出品される「リスボン・ライヴ」より高いではないか! この7番も演奏自体はまずまずだし、併録の「展覧会の絵」は超名演だが、そこまでして入手する価値があるのだろうか? 同じく「緑」の5番(AUD-7007/8)もこのところ出品されているのを見かけないが、もしかしたら品薄になっているのだろうか?(出品して一儲けを狙おうか?)

2004年9月追記その3
 85年のブル7と「グレイト」の2枚組AUDM-2503/4(AUDIORだが「緑」ではなく、なぜか「赤」)が出品されたが、開始価格1300円からドンドン高騰し、結局6350円まで行ってしまった。全盛期(?)の「リスボン・ライヴ」並だな、こりゃ。(青裏出んかなあ・・・・)

2005年4月追記
 ようやくにして懸案だった「紫」盤をゲット! それも覚悟していた価格以下だった。

7番のページ   チェリビダッケのページ