交響曲第7番ホ長調
カール・ベーム指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
76/09/29
Deutsche Grammophon POCG-6028

 当盤で驚くのが、第1楽章6分09秒でテンポをグッと落として金管が派手に吹き鳴らすところである。カラヤンも同様だが、ベームのやり方はもっと徹底している。ヴァントNDR盤のページで書いたように、楽章最後の盛り上がりの印象が薄くなってしまうと思うので、私はこういうやり方には反対である。それでもここを強調しなければいけない理由が理解できれば文句はないのだが・・・・例えば、この楽章の終盤(コーダに入る前)にも同じように盛り上げるところがあり、主部(コーダを除く部分)にシンメトリーを構築するとか。曲全体でも構わない。第2楽章のクライマックスが曲全体の中心点として、この第1楽章の「パーッパカパー」に相当するような盛り上がりを反対側に持ってくればよい。あるいはシンバルを鳴らしてもいいかもしれない、というのはもちろん暴論であるが、何れにしても「無意味な盛り上がり」と思わせないだけの工夫は欲しかった。(ちなみに、「反対側」の位置を単純に時間で計算すると、第4楽章の後になってしまう。この意味でも暴論であった。)
 この楽章の9分頃で止まりそうになるところも同様である。その後、スタスタテンポに戻ってしまうので何のためにやったのかが判らない。カラヤン以上の「大根役者」ぶりである。最後のティンパニが遅れて入ってくるのも、この頃の指揮者あるいはオケのアバウトさを見事に表している。2楽章のクライマックスのティンパニの入りも少しずれているように聞こえる。しかも音が汚い。8番VPO盤のページには「7番なら薄い演奏でも『枯れた演奏』に聞こえるので救われる」などと書いたが、弛緩した演奏はダメである。

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