自転車琵琶湖1日一周のためのミニ・アドバイス


 私は滋賀県生まれにもかかわらず、ようやくにして一昨年の10月に初めて自転車琵琶湖一周を達成しました。そこで昨年予告した通り、思い付くままに書きつづった文章をミニ・アドバイスとしてここに載せることにします。これは自転車愛好家ではない人、「これまであまり自転車で遠出をした経験はないけれども、記念に琵琶湖一周でもしようかな」などと考えている人を念頭に置いて作成してみました。テントや寝袋を携行せずに1日で一周(それも日の出後にスタートして日没前にゴール)したいと考えている人を対象にしています。

i ) どこを走るか?
 まず以下に示すような異なる視点から2つの方針を組み合わせることによって複数のコースが想定できます。

1.琵琶湖大橋を利用しない「正味の一周」
 琵琶湖を渡るのは瀬田川大橋(国道1号線)か瀬田の唐橋が正統的。ですが、近江大橋によるショートカットもこの際大目に見ましょう。

2.琵琶湖大橋利用の北湖一周(別名「琵琶湖0.8周」)
 琵琶湖大橋は自転車だと通行料は要りません(近江大橋も同じ)。なお、1のバリエーションとして琵琶湖大橋を2度通る「八の字コース」も考えられます。

3.大橋を利用して南湖を廻る「0.2周」
 これはいくら何でもショートカットしすぎなので却下。

A.律儀に湖岸をなぞる
 ただし、高月町から木之本町にかけて山がすぐ迫っていて道がない区間はもちろん除外。後述するオプション(あるいは迂回路)をどこまで採り入れるかで距離が変わってきます。

B.ひたすら最短距離を走る
 景色には目もくれず、なるべく短時間で一周したいという人向け。県道2号線(大津能登川長浜線)に代表されるような内陸部の道路も積極的に利用します。

 私は「まず一周することに意義がある」と考えたため、最初に1Bをほぼ8時間(休憩含む)かけて完走しました。2度目は2Aで、距離は同じぐらいだと思いますが9時間近くを要しました。湖岸のカーブやアップダウンの連続は想像していた以上に負担が大きく、さらに最後の20kmがもろ逆風で1時間30分かかってしまったのが大誤算で、完走後の疲労度もこちらの方が比較にならないほど大きいものでした。一方、2Bには意義や魅力といったものがあまり感じられないので今後も走ることは多分ないでしょう。(http://homepage2.nifty.com/inuwasi/bike/touring.htm#99/10/24を参照、それにしても約150kmを5時間35分というのは凄い!)
 最後に1Aですが、1泊するならともかく1日で完走を目指すというのはどうでしょうか? Aは少なくともBの1割以上増しになりますので、平均時速20kmで走り続けられたとしても10時間以上かかります。日照時間の長い時期なら、あるいは朝早く出れば可能ではないかと考えられるかもしれません。しかしながら、私の経験では6時間を過ぎた辺りからペースがガクッと落ちます。(疲労で足がつったこともあります。)普段は何ともない坂も登れなくなります。運悪く向かい風になったら泣き面に蜂です。そうなれば最後の最後が地獄の走りになってしまうので私にはお薦めできません。(追記:godzillaさんという方が1Aを完走されていました。しかも京都発着の245km! 完全に脱帽です(http://godzilla100.fc2web.com/02-5-05.htm参照)。ただし朝6時に出発しても最後は完全に暗くなっているようですから、やはり明るい内に一周するというのは困難かもしれません。(私は四輪車や路上の障害物が怖いので夜間は絶対に走りません。)
 なお県道512号線(葛龍尾崎塩津線)&513号線(葛龍尾崎大浦線)、通称奥琵琶湖パークウェイは距離(19km加算)もさることながら高度差による体力消耗が大きいため、琵琶湖一周のオプションとしては採用せず、日を改めて走るべきだと思います。(もちろん2日以上かけて一周するのなら話は別です。)ちなみに奥琵琶湖パークウェイも含めた1Aコース(瀬田の唐橋経由)の総走行距離は242kmになるそうです(http://home9.highway.ne.jp/k_matu/TABI/BIWAKO/biwako.html参照)。
追記:滋賀県推奨の「ぐるっとびわ湖サイクルライン」というものが存在し、総距離は193kmのようですが(http://bkadesu.hp.infoseek.co.jp/20min/syousai/012.htm参照)、ルートの詳細については把握していません。

ii ) どっち向きに廻るか?
(何かの本で読んだのですが単に「時計回り」「反時計回り」では厳密な定義にはなっていないそうです。鳥のような上からの視点とモグラのような下からの視点では逆になりますから。身近な例として地図と星図の方角は逆(鏡像)になっていることを思い出して下さい。ここでは地図上、つまり鳥のように上から眺めた場合の「時計回り」「反時計回り」を用います。)

 私が考えるには3つの原則があり、重要な順に考慮した上でどちら周りにするかを決定すれば良いと思います。まず、「走っていて眺めが良いのはどちらか」を考えたら文句なしに反時計回りになります。交通規則を守って左側通行する場合に琵琶湖が左手に見えますから。それを理由に反時計回りを選ぶ人もいるようですが、率直に言ってその重要度は大きくありません。
 より重要なのは、先にも触れましたが「最後の最後に向かい風にならないようにする」です。湖岸はしばしば強風が吹き荒れます。疲れている時にこれをまともに喰らったら堪ったものではありません。例外もあるのですが、だいたい午後から北風が吹くことが多く、日が傾くとともに強くなるという傾向があります。(ちなみに私が土曜日に自転車通勤する場合、朝は南風、夕方は北風でどちらも向かい風という腹立たしいことがよくあります。)そこで最後を南行きになるようにすれば、漕げども漕げども一向に進まないという悲惨な状況を回避できる確率が高くなります。したがって結論はこうです。スタート地点が湖東なら時計回り、湖西なら反時計回り。湖南(大津、草津など)や湖北(木之本、余呉など)にお住まいの方はお好きな方をどうぞ。(後者はどちらにしても辛い思いをさせられる運命のようです。)ただし、天気の変わり目には普段とは異なる向きの風が吹くこともありますから、出発前に天気予報で風向を確認しておくことをお薦めします。何にせよ、強風が予想される日には出かけないのが最も賢明な選択といえるでしょう。
 しかしながら、もう一つありました。それ以上に重要な原則が。それは「トンネルを最後に残さない」です。琵琶湖一周は基本的に湖岸(=低地)を走るので、トンネルを通る機会は少ないのですが、琵琶湖北端の国道8号線と303号線上に4つのトンネル(長さ数百〜千メートル前後)が連続しています。回避しようとすれば恐ろしく時間とエネルギーを要するトンネルもありますので、少なくともいくつかは通らない訳にはいきませんが、疲労のために走行が不安定になっていると歩道幅の狭いものを通る際に車道に転落する危険があります。注意力散漫でついウッカリということもあり得ます。不幸にもその直後に車が来たとしたら! もちろん押して通過すればどうってことはありませんが結構面倒なものです。また、辿り着く前の上りが非常にきついトンネルもあります。(私は風向の読み違いとともに、坂を甘く見ていたために泣きを見ました。)ですからトンネルは余力がある内に通ってしまいましょう。これが優先順位ナンバーワンです。県北部にお住まいの方は迷わず北に向かうことをお薦めします。

iii ) どこを走るか
1.なるべく歩道を走る
 私はペーパードライバー歴15年だったのですが(19歳で免許取得後ほとんど運転せず)、自動車通勤するようになって初めて車道を走る自転車の危険性が解りました。それ以前は脳天気にも「なぜあんなに大回りで避けていくのだろう」などと考えていたのでした。車内からは自転車が実際よりもはるかに近く見えます。こちら側に寄れてこられて接触したらどうしよう、万一転倒されて轢いてしまったら等と考えたら恐くてたまりません。段差のために車輪が傷むから歩道は走らないというのは理由にならないと私は思っています。それに1日ぐらい走ったところでダメージなど知れたものではないでしょうか。また「歩道は歩行者のためのもので本来は自転車は走れない」という理由(言い訳)もネット上で目にした記憶もありますが、実際には「自転車も通行可」という標識の立っている歩道がほとんどのように思いますし、そうでない歩道を走って警察官に捕まって怒られたりする可能性など限りなくゼロに近いといっても良いでしょう。車に引っかけられるリスクの方がはるかに大きいと思います。
2.やむなく車道を走る場合
 ただし例外もあります。国道8号線や県道2号線など古くからある道では、歩道の幅が1m未満で数メートルおきに段差があるなど自転車が走ることを想定していませんので、かえって危険です。そこでやむを得ず路肩を走る場合の注意点ですが、対向車が来る場合は追い越そうとする車が反対車線に出られないので、可能な限りギリギリを走ること。万が一にも追い越し車に接触されないためです。(対向車がない場合はさほど神経質にならずとも良いです。)大型車の場合はなおさらです。後方から近づいてくる気配を感じた場合は一旦降車してやり過ごしましょう。トラックやトレーラーの場合は、エンジン音に加えてスピードを落とす際の「プシュッ」という結構大きなブレーキ音が聞こえます。
 走行に際しては電柱や自動車侵入を防ぐためのポールに激突しないよう注意してください。ポール間にチェーンが渡してある所もあります。歩行者を脅かさないようにするのは当然のマナーです。なお、歩道は基本的には湖岸側に立派なものが設けられていることが多いのですが、国道161号線の白髭神社〜北小松区間は山側の方がよく整備されています。
追記(重要):路肩にしろ歩道にしろ、道路の右側を走るときは特に注意して下さい。対向車も危険ですが、直交する小道からいきなり車が飛び出してくる恐れがあります。(運転者が車の流れる方向にしか注意を払っていないとそうなります。)私はこれにやられました。

iv ) 何を持っていくか?
1.地図
 琵琶湖一周の場合は迷う危険性もあまりないので無くとも何とかなります。ただし現在地(どこまで来たか、あとどれだけ残っているか)を確認するために滋賀県全図ぐらいは持っていく方が良いと思います。なお、少しでもショートカットしたいと考えるなら交差点名も記載されている道路地図(県別マップルなど)が欲しいところです。
2.飲料水
 必需品です。特に真夏の炎天下では水分補給が頻繁に必要になります。(ちなみに私が夏に出かけるときは1.5リットルのペットボトルに水を詰めていきますが、途中で飲み尽くして補給することになります。)が、これも山行などと違いコンビニや自販機が利用可能なので無くとも大丈夫です。(さらに琵琶湖にも水が無尽蔵にあります。お薦めしませんが・・・・)私見ですが、緊急時に備えて500ml程度のペットボトルなどを携行されたら十分だと思います。なお甘味の強いものはかえってのどが渇く恐れがあるので、スポーツドリンクやお茶の類が無難でしょう。(激しい運動時に発生してDNAを傷つける可能性を持つ活性酸素がビタミンCやEによってある程度除去されると期待されることから、緑茶は最適かもしれません。さらにカルシウムが不足すると脚の痙攣を起こしやすくなるため、予防に牛乳などを飲んだ方が良い・・・・のかは知りません。)
3.食料
 不要でしょうね。弁当持参は荷物が増えるだけのような気がします。ゴミも出ますし。外食を利用しましょう。ただし空腹感によって集中力が切れるのを防止するために、血糖値をすみやかに上昇させる食べ物を持っていくことを推奨します。もちろん疲労回復にも効果が期待できます。チョコレートが最適ですが、夏はドロドロになってしまうので飴やキャラメルですかね。
4.パンク修理用品
 私は山行の場合にはホームセンターで買った修理セットと足踏式の空気入れを必ず携行しますが、歩道中心の走行ではパンクする危険もそれほど高くないのでやはり省略可でしょう(ただしガラスの破片等には十分注意)。そもそも自分で直せない人にとっては持っていく意味がありませんので、運悪くパンクしてしまったら自転車屋まで押してください。休日にはサイクリストが頻繁に通りかかることが予想されますので、もしかしたら助けてもらえるかもしれません。(愛嬌を振りまく練習をしておきましょう。)なお、ゴムの粒子を噴霧して穴を塞ぐと同時に空気を充填するというスプレーが売っているそうですが詳しくは知りません。1回切り使用で値段も少々高めのようですが、それでも長距離を押すよりははるかにマシでしょう。(追記:ダイソーにも売っています。効果の程は確認していませんが・・・・・)
5.その他
 ポケットティッシュやバンドエイドに加え、通常の外出時と同様にある程度の現金やテレホンカード(携帯電話所有者はもちろん不要)なども携行するべきでしょう。
6.おっと忘れてた!
 そうです、肝心の自転車のことを。1日一周に挑むのであれば買い物用自転車(ママチャリ)だけは止めておかれた方が良いと思います。(私には自信がありませんので完走された方は尊敬します。蛇足ですが三輪車もダメですよ!)ある程度スピードが出ないと1日200kmは厳しいですし、ギアチェンジができないと上り坂で苦戦するのは目に見えています。要は変速機能付き自転車でさえあればどんなタイプでも安物でも構いません。あるいは最近普及し始めた電動自転車などは最適かもしれませんね。「反則」スレスレだと思いますが・・・・(原動機付きは論外です。)それから折り畳みタイプならば途中でリタイアしてもJR電車で帰れますね(ただし輪行袋が必要)。こちらは言ってみれば「保険付き」でしょうか?
7.ついでに服装
 普段着で良いと思います。言うまでもありませんが、気温に応じて適当な格好をして下さい。(ちなみに私は転倒した際に擦り傷が軽く済むと考えて下は年中長いのを履いていますが、夏は上は半袖Tシャツにします。)ただし夏は日射病や熱射病の防止のため、帽子(野球帽など)は絶対に忘れてはいけません。曇天日であってもいつ何時に日が差してくるか予断を許さないので、被らないまでも必ず持っていきましょう。また、日焼けを嫌うなら必然的に長袖長ズボンということになります。

v ) コース解説
 それではいよいよ琵琶湖一周コースについて具体的に解説することにします。私の職場(滋賀県立大学)から反時計回りに一周する場合を想定しましたが、出発地が異なる場合や逆回りにも十分応用が利くと思います。

 彦根市→長浜市は県道2号線(大津能登川長浜線、通称さざなみ街道)が最短距離ですのでひたすら湖岸を走ります。彦根市松原町は水泳場の方に出ると少しだけ遠回りですが、普段は交通量が少ないので通っても良いです。ただし夏の週末は海水浴客および車に道を塞がれ最悪です。(なお鳥人間コンテストの当日はもちろん、その前後数日間も滑走路を眺めることができます。一見の価値あり?)一方、米原町磯の旧道はショートカットになるので積極的に利用しましょう。
 ここからはAB両コースを並行して説明していきます。城が建つ豊公園から木之本町までは湖岸優先のAコースなら引き続きさざなみ街道、つまり県道331号線(湖北長浜線)→44号線(木之本長浜線)です。ただしBコースよりかなり遠回りになります。山本山をぶち抜く片山隧道を抜けると賤ヶ岳トンネルを通過するまで琵琶湖は見えなくなります。先述したようにこの区間は湖岸に道がないからですが、どうしても琵琶湖を見たいのであれば山本山から磯野山を経て賤ヶ岳に至る(さらに大岩山を経てJR北陸本線余呉駅付近まで続く)尾根ルートの遊歩道がありますので、そこを押して下さい。高月町片山から登って木之本町山梨子で下りれば良いでしょう。眺めは最高ですよ(ってそこまでするかー!)(余談ですが、先日遊歩道を押していた際に、トンネルができるまで片山集落の子供達が山で隔てられた古保里小学校まで毎日徒歩で通学していたことを記した看板を目にしました。お隣の湖北町山本にある朝日小の方が近くて山越えもないという不条理にも耐えていたのです。おそらく肉体的にも精神的にも相当タフだったのだろうと想像します。積雪量も現在とは比較にならないほど多かったはずですが、大雪の日も通っていたのでしょうか?)一方Bコースは、あくまで最短距離にこだわるなら県道44号線→国道8号線でしょうが、この区間の8号線は歩道が整備されていないので県道44号線→259号線(井口高月線)→再度44号線(Aコースと合流)というルートをお薦めします。(地図で研究して下さい。)国道8号線に復帰し、いよいよトンネル街道です。(註:私が実際に走行した時は長浜の内陸部に位置する自宅が発着地でした。その場合、木之本町までは県道510号線=伊部近江線をまっすぐ北上→国道365号線という経路が最短で、あとは北陸自動車道の真下の道や農道を適当に通って国道8号線に入ることになります。)
 第1弾の賤ヶ岳隧道は東から西に向かって下りです。(山側から湖岸に降りるのだから当然か。)南側(琵琶湖側)にあまり広くない歩道が付いていますが、歩道を照らすはずの蛍光灯が消えていると足下が暗くて結構怖いです。余裕があれば旧道(県道514号線=飯浦大音線)の賤ヶ岳トンネルの方を抜ける手もあります(ただし結構な上りで冬期通行止)。常識的には回避不可能でどちらかを通ることになるでしょう。第2弾の藤ヶ崎トンネルは逆に東から西に向かって上りで、北側(山側)に幅が広い歩道が付けられているので安心です。敢えて迂回路(Aコース)の県道336号線(塩津浜飯浦線)を通る必要もないでしょう。もっともアップダウンはほとんどなく、さほど遠回りにもならない楽な道ですが・・・・なお藤ヶ崎トンネルの前後、木之本町山梨子から西浅井町塩津浜にかけて歩道の全くない区間があるので細心の注意が必要です。(2006年8月追記:藤ヶ崎トンネルの西側には琵琶湖寄りに歩道が整備されました。)
 お次に控えるは第3弾の岩熊(やのくま)トンネルですが・・・・弱りました。まず奥琵琶湖パークウェイの入口を過ぎた直後からかなり急勾配の上りです。(塩津浜交差点から岩熊口までは律儀に国道8号線→303号線を走るのではなく、田んぼの真ん中をショートカットしましょう。矢合神社の鳥居を目指して岩熊集落内を通れば、国道を回避しつつトンネル入り口付近まで行けます。押しが必至ですが・・・・ここに限らず、漕いで上るのがきつければ無理をせず押しましょう。逆にスピードが出やすい急な下りでは調子に乗りすぎないこと。)上りはトンネル入口まで続いています。途中までパークウェイを上り、右手に見える旧道トンネルを抜けて八田部口に至るという手もあるにはあります。しかし、中途半端な逃げ道という印象がどうにも拭えませんし、そこに至るまでの上りも結構キツイです。ここは割り切ってトンネルを通りましょう。最近になって既存の岩熊トンネルの南側に新(第2)トンネルが併設され、西行きは新トンネル、東行きは旧トンネルという片側通行になりました。同時に両トンネルとも自転車用の側道が付けられたために不安なく通行できるようになりました。(以前は歩道がなかったため、短いながら通るのはちょっと危険でした。)トンネル内はどちらもほぼ平坦で、新トンネルは南側(琵琶湖側)、旧トンネルは北側(山側)に車道に匹敵するほど幅の広い側道があります。なお、車と同じ方向に走行すると追い風になるので多少は楽かもしれません。第4弾の奥琵琶湖トンネルもアクセスが一苦労です(時計回り、反時計回りとも)。しかもトンネル内も東から西へダラダラと上りが続いています。(東行きはラクですが、中は暗いし歩道の幅も狭いので絶対にスピードを出さないこと!)歩道は南側(琵琶湖側)です。距離重視のBコースでは本来ならばこちらですが、迂回路(Aコース)の県道286号線(大浦沓掛線)→557号線(西浅井マキノ線)は眺めも良いですし、距離の加算やアップダウンも大したことはないので走行をお薦めします。とくに時計回りコースでは追坂峠までの上りを回避することができますから利用価値は大です。ただし、途中に5本ある短いトンネルには照明がなく、内部は暗いため車には要注意です。(2006年9月追記:先日久しぶりに奥琵琶湖トンネルを通ったのですが、歩道の拡張工事が行われた模様で幅が5割ほど広くなっていました。)
 さてさて、いずれを選ぶにせよマキノ町海津を経て西浜に至るわけですが、そこからはAB両コースとも通称風車街道(県道54号線=海津今津線→333号線=安曇川今津線)を通るべきです(国道161号線のメリットは皆無)。Aコースなら松林の脇を通る旧道の方が良いでしょう。また新旭町との境界まで今津港近くを通るバイパスもあります。新旭町の木津交差点からAコースはそのまま風車街道(県道333号線→304号線=北舟木勝野線)、Bコースは内陸部(県道558号線=新旭高島線)に分かれますが、高島町勝野で再び合流します。交通量の多い酷道161号線はできる限り避けたいのですが、ここから志賀町北小松までの区間は他に選択肢がないので否が応でも通らない訳にはいきません。先述したように歩道は西側(山側)にほぼ完全に整備されていますが、十分注意して走行して下さい。志賀町との境界および北小松漁港付近には琵琶湖側に迂回路があります。前者は道幅が広く交通量は極少でショートカットにもなります。
 JR湖西線北小松駅を過ぎればAコースは県道307号線(北小松大物線)→321号線(荒川蓬莱線)へ逃げられます。一部はびわ湖レークサイド自転車道(601号線)として整備されています。さらに近江舞子駅から南小松港の方に向かい、湖岸ギリギリを走ることも可能です。ただし遠回りになりますし一部はダートです。また海水浴場やキャンプ場前の区間は7&8月は歩行者専用になります。一方、Bコースは最短距離にこだわるならあくまで国道161号線でしょうが、多少遠回りでもここはAコースに倣った方が良いかもしれません。というのも、国道161号線の高島町勝野から志賀町蓬莱までの区間は、歩道の不完全さと交通量の多さによる心労だけでなく、地図上からは読みとれない連続アップダウンがジワジワとボディ・ブローのように効いてくるからです。もしかしたら、ここは自転車琵琶湖一周の中では湖北のトンネル連続攻撃と並ぶ難所かもしれません(もちろん奥琵琶湖パークウェイは別格)。もちろん敢えて棘の道を行くのも結構。ひたすら堪え忍んで左手前方に琵琶湖大橋が見えてくれば一安心です。
 蓬莱駅からは国道161号線、あるいは湖西線の高架直下などを通る少し内陸部の道のいずれかを行くことになります。Aコースでは国道161号線和邇(わに)中浜交差点から左に入る道があるものの、湖岸まで行くと行き止まりになってしまうため面白味はあまり無し。琵琶湖大橋に向かう人は、真野漁港付近のジャスコと速度注意の看板が立っている所(見落としやすい)で左折すれば近道になります。途中とても狭くなりますが自転車は通れます。(ここで「琵琶湖0.8周」の人とはしばらくお別れです。なお大橋は両側に歩道がありますが、後述するショートカットを利用するのであれば北側を行きましょう。くれぐれも下りでは飛ばしすぎないように!)堅田から南は国道161号線以外のルートは考えにくいので、車に十分注意しつつ走行しましょう。敢えて迂回路を挙げるなら仰木口交差点から県道313号線=仰木本堅田線→47号線=伊香立浜大津線でしょうが、相当な遠回りと上りに苦しめられることは必至です。(♪きみはーゆくーのーかー?、そんなーにしてーまでー♪と思わず唄いたくなる。)浜大津でようやく酷道とオサラバ、県道18号線(大津草津線)の十分幅のある歩道を走りましょう。近江大橋利用の人はそのまま、瀬田川大橋か瀬田の唐橋を渡るのなら県道102号線(大津湖岸線)に入ります。(註:私が1Bコースを走った時には、瀬田の唐橋のすぐ下の河岸に造られた公園で昼食休憩を取りました。長浜の自宅を出てから4時間近くが経過していましたが、この時点で既に全行程の6割を走り終えています。)
 琵琶湖東岸に渡ってからは、Bコースでは県道26号線(大津守山近江八幡線)→18号線(草津守山線、つまり近江大橋利用の人はそのまま)→42号線(草津守山線)を経由して最後に2号線に入るということになります。(42号線から2号線へは様々なルートが考えられます。どうぞお望みのままに。)県道2号線は多少のアップダウンはあるものの、向かい風でない限り走行自体はラクです。しかし歩道が未整備なので車には要注意! 安土城跡の麓にある公園は絶好の休憩スポットです。彦根まで一本道なので解説はもう必要ないでしょう。(なお県道26号線と国道477号線の併用でAコースに合流するというバリエーションもあります。「ちゅーーーーーとはんぱやなぁ!」とボヤキたくなりますが・・・・)
 Aコースではひたすらさざなみ街道(県道559号線=近江八幡大津線→26号線→25号線=彦根近江八幡線)を行くことになります。Bコースに比べたらかなり遠回りですが、きっと景色を十分に堪能できることでしょう(私は559号線の琵琶湖大橋までの区間は未走破)。一方、大橋を渡ってきた人は料金所直前で湖岸の歩行者・自転車道に下りてなぎさ公園までショートカットできます。近江八幡市に入り、岡山付近の上り坂では一部に歩道未整備の区間があるため湖岸へ逃げましょう。途中からダートになりますが湖岸緑地岡山園地に出られます。県道26号線に入って約1.5km、長命寺川を渡った所では2つの選択肢があります。県道25号線の直線的な新道を行くか、左手に沖島を眺めつつ上り下りする長命寺→休暇村経由の旧道オプションを採るか。後者は遠回りになるだけでなく、国道161号線の難所にも匹敵するアップダウンですから、残りの距離、時間、そして体力と相談して決めて下さい。能登川町内は素直にさざなみ街道を行くのが無難でしょう。余裕があれば湖岸ギリギリまで足を伸ばしてもいいかもしれませんが、あんまり意味はないと思います。彦根市に入ったらさざなみ街道をひたすら真っ直ぐ行きましょう。新道が琵琶湖から少し離れて水田地帯を通っている区間では、集落内を抜ける旧道ショートカットが2カ所あります。交通量も少ないのでリラックスして走れます。ぜひ利用しましょう。2つ目のショートカット区間を過ぎれば彦根市八坂町。間もなく右手に出発地となった職場が見えてきます。Bコースの人は宇曽川を渡ると荒神山に隠されていた建物群(とても大学には見えない)が左手前方に見えるはずです。ここまで来れば完走までもう一息。本当にお疲れさまでした。

 最後まで読んでいただいて本当にありがとうございました。この駄文が何らかのお役に立てば幸いです。

 ところで2度目の琵琶湖一周の休憩時に地図を眺めているうちに思い付いたクイズがあります。興味がある方はこちらへどうぞ。

戻る