ルス・マベール(Luz Mabel)

Mi Destino
1998
Guairá Producciones GP-0015

 この歌手は2005年に "Como Olvidarte" というアルバム(Yoyo Music)を出しており、そちらはamazon.com($13.98)やiTunes Store(¥1,500)で買える。ただし、試聴してみたところ(収録曲目からも予想されていたが)ラテン・ポップス集だったのでスルー。私としてはあくまでパラグアイ音楽を聴きたいので当盤をHMV通販から購入することにした。マルチバイ割引でも約2200円と少し高かったけれど。(なおネット上の表記は「マベル」がほとんどだが、第2音節にアクセントが置かれていることを考慮し、「アルパの調べと歌」の著者に倣って「マベール」と記すべきと判断した。)
 パ国でも美人が多いとの定評があるVillarrica出身のようで、ブックレット表紙からはその片鱗が窺える。ただし裏表紙やケース裏の写真は「そこそこ」であるが。それ以上にまだ20代だというのに顔や下半身に肥満の兆しが顕れているのが気になる。なので少し前に採り上げた女性歌手のようにはなって欲しくないなぁ、と思ったのであるが、先述した "Como Olvidarte" のジャケットを見る限りピンチは脱したようである。バイオグラフィには「幼少時から多くの音楽フェスティバルに参加してきた」とあり、たぶん国外でも活動してきたお陰で例の恐るべき「ハイカロリー攻撃」から逃れることができたのだろう。
 さて、大手が扱っていることから知名度はそこそこあると想像できるが、実際歌手の実力はなかなかのものである。トラック1のタイトル曲から既に満足が得られる。(曲は "India" の二番煎じっぽいが。ついでながら13曲目 "Noches de amor" も歌の出だしの音型が同じだ。)少々散漫&幼い感じの声で、リッサ・ボガードのような伸びや張りこそ感じられないが、耳当たりの良さを理由にこちらを好む人もいるだろう。伴奏も高水準。ピアノやキーボードを積極的に採用した現代的アレンジだが、アルパやギターとの組み合わせ方も見事で、こういうフォルクローレを聴くのも悪くない。打楽器による効果音の使用も巧い。特にトラック6 "India" は冒頭のアルバに続くキーボードが非常に印象的だった。歌手もボガードに匹敵するほどの名唱を聞かせてくれる。当盤は入手も比較的容易だし、パラグアイ音楽入門用として今後はこれを薦めることにしようか。
 文句を付けるとすれば3曲目 "El mensu" の男声合唱がウザイ(─1)。また軽傷ではあるが、しばしば音割れするのも減点対象(─5)。ということで84点。

おまけ
 これに味をしめてPerlaという歌手の "En Paraguay" もamazon.comに買い注文(品切れのためpre-order)を入れた。気長に待つ。ちなみに、この人はパラグアイ(Caacupe)生まれながら20歳の時に家族と離れてブラジルに移り住み、以後はポルトガル語によるアルバムを数多く(たまに西語でも)リリースしているようだ。

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