ロス・アルフォンソ(Los Alfonso)

Nombrándote Paraguay
2004
TAKE-OFF TKF-2854(Guairá Producciones GP 036)

 某ネット通販のポイント稼ぎのため邦題「愛しきパラグアイ」の国内盤を買った。(1000円引きの40Pまであと少しだった。国内盤ながら職場生協では扱ってくれないため、どこで買っても値段は一緒なのである。より安価であろうGuairáの輸入盤も一応捜したが見つからなかった。)とはいえ、もちろん盲滅法に手を出したのではなく、良質のパラグアイ音楽が聴けるのではないかとの期待による購入である。それは裏切られなかった。
 帯の紹介文(テイクオフのサイト掲載のそれと同じ)によると先(1989年)にデビューしていたアニバル、グスターボ、アントニオのアルフォンソ3兄弟に妹のロサ・マリアを加え、98年にクァルテートとして再スタートしたとのことだが、この紅一点のトップ・ボイスがいい。並外れて上手いということはないが、リード・ヴォーカルを務めるには実力十分である。男性陣のサポートも見事。(時にソロでも活躍するが、テノール2名はなかなかの美声。残る1名はちょっと落ちる。)既に採り上げたパ国の男女混声ユニットと比べると、アメリカンタはまあ当然としてもテノンデペよりもアンサンブルの精度は上回っていると思う。器楽伴奏の完成度も高いし録音の不手際もない。収録曲の多く(9/14)がグアラニ語というのも嬉しい。とりわけ2曲目 "Yvoty ty apyre'y" および4曲目 "Trigueñita" は現地でしょっちゅう耳にしていた曲だから懐かしさもひとしおである。と、ここまで持ち上げておいて次段落から文句を付ける。
 やはりトータルタイム35分半というのは短すぎ。また「アルパの調べと歌 〜南米パラグアイの音楽〜」の著者でもある早川智三の解説は中身充実ながら、歌詞の対訳でなく大意というのが残念である。グアラニ語の翻訳に適任者を見つけることが容易でないことは認めるけれども。続いてジャケット。メンバーの目つきが揃いも揃って非常によろしくない。(まさか写真を撮られることに慣れていなかったのだろうか?)全員がガンを付けているような表情なので眺めている内に気分が悪くなってくる。一方ケース裏の方もイマイチながらそこまで酷くはない。ただし、彼らの前に(中腰で?)位置している2人が何者なのかがサッパリ判らないのは困る。あるいはブックレットに掲載されている器楽奏者複数名の誰かなのだろうか?
 とはいえ、これまで採り上げたパ国音楽CDと比較しても上の部類に入るのは間違いないところ。滞在経験を持つゆえの身贔屓点(?)と先述の思い入れ点を加味して87点を付けておこう。

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