Silueta
1992
Sony Discos CDZ-80818

 今年に入って知り合いとなった同県在住のKさんがガブリエルのCDを4枚貸して下さった。この方は県職員として森林関係の仕事に就いておられるが、前世紀にはグアテマラで植林を指導したという経験もお持ちである。当時から彼女の音楽を愛聴されていたそうである。(ついでながら共通の知人がいることも後に判明した。)
 今回はディスク評を発表順、すなわち "Silueta"(1992)→ "Luna"(1993)→ Ayer y Hoy"(1994)→ "Con un Mismo Corazón"(1997)の順に執筆するつもりであるが、当盤よりも既所有の "Best"(1992)のリリースの方が早かったようで、結局のところ重複曲は一切なかった。
 当盤でよく解らなかったのがジャケット等に使われていた歌手の写真。歌詞カードを開くとスーツにネクタイ着用(ただしステージ用衣装)のガブリエルが目を閉じて椅子に腰掛けている。それも背もたれに片足を突っ込んで。何なんだ? ケース裏の写真も不可解。サックスを持っているのは歌手自身だろうか?(半シルエットなので判別不能である。)確かにこの楽器が効果的に使われていたのは事実だが、歌と重なっていることから推察するに本人が実際に吹いていた訳ではないだろうに・・・・なので措いといてサッサとレビューに移る。
 収録12曲全てがロック・ポップスの系音楽なので時に騒がしいと感じることもあった。例えばトラック1 "Tu y yo" はベスト盤冒頭収録の "¿Quién como tú?" を彷彿させるようなリズムが耳にまとわりついてきて煩わしかった。とはいえ、構成をよく考えて曲を配置されたオリジナルアルバムのためか、途中でウンザリするようなことが全くなかったのはありがたい。特筆すべきはコーラスの活躍である。この曲の "Ámame...." 以降のサビも十分上出来だが、3分過ぎの反復部で歌手が大見得を切ってからの進行には思わず心打たれた。それをも上回ったのが次曲 "Todavía tenemos tiempo" のサビ(Corazón nunca es tarde...")。何という感動的なメロディであろうか! 合唱との掛け合いも見事としか言いようがない。"Mi Mexíco" 収録の二大超名曲("Y aquí estoy" および "Ahora")とは別種ながら同レベルの感銘を受けた。
 ただし私にはこれがピークというか、以後の10トラックはちょっと落ちるような気もしないではない。とくにタイトル曲 "Silueta"(トラック7)はチャカチャカおよびフラメンコ風リズムのツープラトン攻撃が応えた。(かなり期待外れ。次曲 "Todo Termino" が毒消ししてくれたが・・・・)しかしながら、完成度に文句を付ける気には到底なれない。よって90点未満は絶対に付けられない。

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